信頼できる大阪のマンション管理士事務所

マンション管理士事務所JU

コロナウイルス感染防止のためのタッチレス化


 エレベーターのボタンやドアノブを「触らない」ように、綿棒や段ボールなど手に入れやすい素材で知恵を絞って「タッチレス」を目指す工夫が、公共施設やオフィス、クリニックなどで広がっています。

 例えば旭川医科大病院の阿部泰之准教授が考案した「アンタッチャプル」です。カバンを机などにつり下げる際に使われる「バッグハンガー」を応用すれば、扉や窓を触らずに開くことができます。材料も100円ですし、ストラップに付けておくと持ち運びもできますので、自宅だけでなく外出先でも使うことができます。少しお金はかかりますが、兵庫県尼崎市の会社では、端材の鉄板を動物の形に切り出した「HIBATOUCH(ヒバタッチ)」を開発して、先月末から売り出しています。猫をかたどった「触れないニャン」と、猿の形の「代わりにやるモン」の2種類があります。

 また、スマホケースなどを製造する三重県亀山市の会社では「純銅削り出しアシストフック」(1680円税抜き)を販売。直接触らなくても電車のつり革や網棚、手すりを持ったり、ドアノブの操作ができたりします。当初は年間で1万個の販売を想定していたところ、たったの2日で2万5000個(単純計算で約456倍の売上)の注文があったそうで、現在予約を一時停止している状況です。受注再開は5月末が予定だそうです。
  「純銅削り出しアシストフック」の使い道の例

 そしてもう一つ、とてもユニークな発想で考えられた「手を洗いたくなるシール」という商品です。これは、ウイルスのイラストが描かれたシールをドアノブに貼ります。このシールが貼られたドアノブノブを触ってしまうと気持ち悪くなって、どうしても手を洗いたくなってしまう心理をうまく利用したもので、結果、手洗いの励行につながりウイルスの感染防止となります。
 このシールは、消防設備の保守管理等をおこなっている「イグジット」という大分県にある会社で作られたもので、現在ネット販売(4点330円 税込)されています。1500円以上ですと送料はかかりません。

 もともと、この会社の女性の方が、思いつきでパソコンで作成したものですので、誰でも作れるようです。ウイルスの顔は、PowerPointやWord、Excelの上部ボードにある「挿入」の図形で作ることができます。星32pt(顔の輪郭)と弦(目)と月(口)の3つだけで作成した大小のウイルスイラストを、透明なシール台紙に印刷すればOKですので、意外と簡単です。必要とあれば、一度試してみて下さい。
 イグジットのホームページ のお知らせ欄にある
「Twitterで15万いいね!手を洗いたくなるシール」をご覧ください。

 最後に、エレベーターのボタンを直接手で触れないようにするために、半分にカットした綿棒で、呼び出しボタンや行き先ボタンを押すようにする試みです。この試みは観光客が多く訪れる神奈川県湯河原で行われたもので、地元の人達がたくさん利用されているJR湯河原駅と住宅街をつなぐためのエレベーターのボタンには、毎日、数えきれない程の方が直接手で触られています。そのため、直接手を触れずにボタンを押すことができるようにと、湯河原の環境課の方が発案されました。
 この方法は、マンションでの感染防止策の一つとしてとても有効であると思います。マンションの住民の方が共通して一番多く手を触れる箇所が、エレンベータのボタンだからです。私もこの方法をと入れてはどうかと管理組合様に打診し、実際に設置していただきました。現在このマンションでは大規模修繕工事の実施中で、住民の方以外にも多くの作業員の方もエレベーターを使用されていますので、感染防止のために設置して非常に良かったと思っています。もし、感染者が出た場合には、大規模修繕工事の中止を考えなくてはなりませんので、できる限りの感染防止対策を取っておく必要がこちらのマンションにはありましたので。
偶然にも、このマンションで綿棒を設置する日に、読売新聞社から私の方に取材の電話連絡がありましたので、設置のお話をさせていただくと、是非現場も取材させてほしいとの依頼がありましたので、理事長様の許可を得て一緒に取材を受けました。
  読売新聞の取材記事(2020.05.02夕刊)

 新型コロナウイルスの感染は着実に収束に向かっており、近々には緊急事態宣言が解除されると思いますが、今後も新型コロナウイルス以外のウイルス感染もありますので、マンション内での感染が絶対に拡大しないように、普段からエレベーターのボタンには気をつける必要があります。管理会社との業務契約内容を、国土交通省が作成した「マンション標準管理委託契約書」に準拠した内容にしている管理会社がほとんどです。その「マンション標準管理委託契約書」の別表第3には「清掃業務」に関しての契約内容が細かく明記されています。エレベーターに関する項目では、エレベーターホールの「床掃き拭き」、「ゴミ箱」、「ガラス拭き」の回数と、エレベーター籠の「床掃き拭き」、「ゴミ拾い」、「壁面金属部分磨き」、「壁面ちりはらい」の回数が記載されており、ある意味美観に関することだけです。今は、新型コロナウイルス感染防止のために、エレベーターのボタン等を消毒剤で清掃を行っているマンションは多いと思いますが、普段からも、消毒剤による清掃はできなくても、せめて拭き掃除を行っていただく契約内容にしておくべきではないでしょうか。次回の契約更新の際には、「呼び出しボタン及び行き先ボタンの拭き」を明記してもらうように、是非打診してみて下さい。

 以下は、厚生労働省が作成した「事業者・職場における新型インフルエンザ対策ガイドライン」の一部です。「職場」を「マンション」に、置き換えて読んでいただければと思います。

4)職場の清掃・消毒
(目的)・周囲への接触感染の防止
(効果)・感染者が咳やくしゃみを手で押さえた後や鼻水を手でぬぐった後に、机、ドアノブ、スイッチなどを触れると、その場所にウイルスが付着する。ウイルス の種類や状態にもよるが、飛沫に含まれるウイルスは、その場所である程度感染力を保ち続けると考えられるが、清掃・消毒を行うことにより、ウイルスを含む飛沫を除去することができる。
(方法)・通常の清掃に加えて、水と洗剤を用いて、特に机、ドアノブ、スイッチ、階段の手すり、テーブル、椅子、エレベーターの押しボタン、トイレの流水レバー、便座等人がよく触れるところを拭き取り清掃する。頻度については、どの程度患者が触れる可能性があるかによって検討するが、最低1日1回は行うことが望ましい。消毒や清掃を行った時間を記し、掲示する。・従業員が発症し、その直前に職場で勤務していた場合には、当該従業員の机の周辺や触れた場所などの消毒剤による拭き取り清掃を行う。その際作業者は、必要に応じて市販の不織布製マスクや手袋を着用して消毒を行う。作業後は、流水・石鹸又は速乾性擦式消毒用アルコール製剤により手を洗う。清掃・消毒 時に使用した作業着は洗濯、ブラシ、雑巾は、水で洗い、触れないようにする。

ページトップ