マンション政策小委員会とりまとめ案の意見公募 その1「管理計画認定制度」
国土交通省は、社会資本整備審議会・マンション政策小委員会から提示されたとりまとめ案について、現在、意見公募手続き(1月24日まで)を始めています。管理計画認定制度についてのとりまとめ案は、次のように取りまとめられています。
<管理計画認定制度の拡充等>
*マンションの適正管理を促すためには、新築時より適切な長期修繕計画や修繕積立金の額を設定し、その内容を区分所有者がよく認識した上で、適正な管理や修繕に誘導していくことが重要である。 このような考え方のもと、マンション管理計画認定制度の施行と併せて、一定の基準を満たす新築マンションを対象とした予備認定制度が運用されている。新築の約半数のマンションで予備認定が取得されているものの、分譲後、必ずしも管理計画認定の取得に誘導できておらず、地方公共団体からも、管理計画認定制度の改善点として「新築のマンションも対象にする」という意見が最も多くなっている。 こうした状況を踏まえ、マンション管理計画認定制度を拡充し、分譲事業者に対しても適切な管理計画の作成を誘導し、管理組合に引き継ぐことを確保する仕組みを導入するべきである。
*また、マンションの老朽化が急速に進む中で、マンションの管理状況に対する国民の関心が高まっているものの、管理状況が適正であるか否かについては外観等から判断することは困難であり、管理水準の高いマンションの資産価値が適正に評価・選好される市場環境整備を図ることが重要である。 一部の地方公共団体では、管理計画認定を受けたマンションの選択を促す観点から、管理計画認定を取得したマンションに対し、エントランスに掲示できる認定証やステッカーを発行するなどの取組を進めており、これらの取組を全国に広げるため、管理計画認定を見える化するための措置を講ずるべきである。
*この際、管理水準の高いマンションの資産価値が適正に評価・選好される市場環境の整備を更に進めるため、管理組合の意向に応じて、長期修繕計画や修繕積立金の額、過去の修繕履歴などマンションの管理に関する詳細な情報についても公表することが可能となる仕組みを検討するべきである。
マンション管理計画認定制度」は令和4年4月から開始され、地方公共団体はマンション管理適正推進計画を作成して、①管理組合の運営状況②修繕その他管理の方法③修繕その他の管理に係る資金計画等を認定基準として認定できるようなりました。令和6年度中で見てみますと、県庁所在地の市区で93.6%、政令都市・特別区では100%、中核都市で90.3%、その他市で36.1%が作成済みとなっており、令和6年9月末時点で、管理計画認定数は1253件、新築マンションを対応とした予備認定数は1565件です。
今後引き続いて検討していかなければならないこととして、地方公共団体が管理計画認定制度の周知等の取組への支援措置について検討を行って、優良な取組については横展開を図り、管理業者、マンション管理士等の関係団体に対して、管理計画認定制度の周知等の取組の協力を要請していく。また、認定マンションへのインセンティブの充実を図り、保険制度や民間金融機関による融資制度における認定マンションの管理水準が評価されるようにすることとしています。
今後認定基準を見直す必要があるとして、修繕積立金の安定的な確保するためにも、均等積立方式が望ましい積立方式として引き続き周知を図り、均等積立方式であっても、近年の工事費高騰等の状況を踏まえ、必要に応じて修繕積立金の引上げを行う必要があること、そして段階増額積立方式については早期の引上げが望ましいことを周知していく。防災対策については、平時から管理組合や区分所有者において取組を進めるべき防災対策として、①防災マニュアルの作成・周知、②防災訓練の実施、③ 防災情報の収集・周知、④防災用名簿の作成、⑤防災物資等の備蓄、⑥防災組織の結成の取組の推進を進めていく。そして、これらの周知については、まずは、関係団体、管理組合、区分所有者、地方公共団体等に広く周知を行ったあと、取組状況等を踏まえて、将来的に管理計画認定基準に反映することを検討していくことしています。
均等積立方式が望ましい積立方式として引き続き周知を図るとしていますが、私としては、「望ましい」ではなく「しなければならない」に一刻も早くしてほしいと思います。次回は、「管理業者管理者方式」についてのとりまとめ案を取り上げてみます。