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大規模修繕工事完成図書の工事写真の重要性

 
 大規模修繕工事が完成しますと、施工会社から以下の書類等が保存されている「完成図書」が引き渡されます。
1.工事完了引渡証
2.工事引渡受領書
3.工事保証書・保証期間一覧表
4.色彩一覧表(色見本決定色等)
5.使用材料一覧表
6.出荷証明書
7.備品・予備品納入一覧表
8.各種試験成績表
9.中間・完成検査是正報告書
10.打合記録(工事定例会議事録)
11.実施アンケート
12.コミュニケーションシート
13.バルコニー工事完了確認書(室外機運転確認書)
14.仕様変更一覧表
15.工事費増減内訳書
16.アフターメンテナンス体制表・予定表
17.監理者指示書類
18.産業廃棄物処理表
19.工事日報
20.現場代理人届
21.工事関連業者一覧表
22.緊急連絡先
23.躯体補修図・数量集計表
24.改修竣工図(施工図等)
25.工事写真
 「完成図書」の引渡し時には、保存書類の一覧表(目次)に沿って、施工会社が説明しますが、その説明方法は、書類の名前を言ってページをパラパラとめくるだけですので、私の知る限りでは、管理組合様は内容をほとんど理解されずに受け取っておられます。
 「完成図書」に保存される資料は、設計事務所が作成する工事仕様書に、施工会社が必ず提出しなければならない資料が明記されていますので、ここで明記されている資料が「完成図書」の中にあるかどうかを必ずチェックしていただきたいと思います。ただし、上記1~25の資料の全てが工事仕様書に明記されているわけではありません。
 チェックした結果、「完成図書」に無かった場合は、必ず施工会社に提出を求めて下さい。もし無かったとしても、上記1~25の資料のほとんどは、工事が完成してからでも、施工会社は準備して提出することは可能だと思います。ただし、工事写真だけは、工事期間中の工事部位ごとに、施工前後の写真を撮っておく必要がありますので、施工会社が撮り忘れていた場合には、必要な工事写真が提出されないことになります。
 工事写真は、工事の着工前から完成に至るまでの施工状況や経過の様子、使用材料などを工程ごとに記録されたものです。
 管理組合様にとっては、この工事写真で、工事仕様書どおりの材料が使用されていたかどうか、工事仕様書どおりの工法で施工されていたかどうかがわかりますし、もし、引渡し後にトラブルが発生した場合には、トラブルの要因を検証できる資料となります。また、施工会社にとっても、工事仕様書どおり適正に施工を行った証拠となります。
従いまして、この「工事写真」は、管理組合様、施工会社のどちらにとっても、自分達を守ってくれる非常に重要な資料となりますので、工事写真は的確に撮影されていないと困ります。
 この工事写真の撮り方やまとめ方については、国土交通省官庁営繕部が官庁工事のために作成された「営繕工事写真撮影要領」というものがあります。民間工事でも使われているものですが、あくまで要領ですので業者にはわかりにくいようです。そのため、一般社団法人公共建築協会が出している「工事写真撮影ガイドブック」が多くの工事現場で使われているということです。
 「工事写真撮影ガイドブック」は購入しないと内容が分かりませんので、国土交通省のホームページで確認できる「営繕工事写真撮影要領」の内容を見てみますと、工事写真の撮影方法が次のように記載されていました。

●撮影方法
工事写真撮影に当たっては、原則として、次の項目のうち必要な事項を記載した黒板(白板)を文字が判読できるよう撮影対象とともに写し込むものとする。
① 工事名
② 工事種目
③ 撮影部位
④ 寸法、規格、表示マーク
⑤ 撮影時期
⑥ 施工状況
⑦ 立会者名、受注者名
⑧ その他

 それでは、大規模修繕工事の塗装工事で実際に撮影されているものを見てみますと、
①工事名  ○○○○○マンション大規模修繕工事
②工種   塗装工事
③測点(撮影部位)  第○工区 外壁共用部
④施工状況
⑤撮影時期
⑥施工者名
が、ボードに記載された写真が工事写真として提出されています。





写真は5枚で、上から、
*現状写真
*下塗り塗布状況写真
*中塗り塗布状況写真
*上塗り塗布状況写真
*完了写真  です。
 この工事写真で、外壁塗装が、下塗り・中塗り・上塗りの3回が、工事仕様書どおりに実施されていることが確認できます。
また次の写真は、塗装工事で使用された塗料の写真です。


 上の写真で入荷時の数量(30缶)がわかり、下の写真では30缶全て使用しきったことがわかります。これらの写真は勿論一部であって、大規模修繕工事中の工事写真は相当な枚数となり、マンションの規模によりますが、提出される工事写真は1000枚は超えると思われます。
 施工会社がこれらの写真を撮っていなかった場合には、工事完成後に施工会社にこれらの写真の提出を求めても、写真は提出されることはありません。そのためにも、管理組合様は、施工会社が工事写真を撮影しているかどうかを必ず確認していただきたいと思います。大規模修繕工事の実施施工会社のほとんどは工事写真を撮影していると思いますが、特に注意していただきたいのは、単独での外壁工事や防水工事の発注先の施工会社です。工事写真を撮らなかったり、撮っていたとしても数十枚程度の会社があります。大規模修繕工事が始まりましたら、最低月1回のペースで工事定例会(管理組合、施工会社、工事監理事務所の三者会議)が開かれますので、その際の工事定例会資料の中に、施工会社が工事写真を添付しているかどうかで判断できます。
 一般的に、大規模修繕工事は着工時期で「春工事」と「秋工事」とに分けられますが、秋工事では、8月中に現場事務所や洗い場、トイレ、作業員詰所等の共通仮設工事を終え、9月からは足場を仮設して本格的な工事が始まります。今秋に大規模修繕工事を実施される管理組合様は、是非、工事写真の有無を工事定例会資料で確認をしていただければと思います。もしなければ、施工会社に指摘して下さい。

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