水災保険料 2024年度に値上げ予定
水害を補償する水災保険は、火災保険とセットで契約、またはオプションとして契約されます。火災保険の参考純率は2021年に引き上げられたばかりですが、損保各社で構成する損害保険料率算出機構が保険料の目安となる参考純率を新たにまとめ、6月下旬の理事会で承認されれば金融庁へ届け出されます。各社の実際の保険料に反映されるのは2024年度中になるとのことで、過去最大の保険料引き上げ幅になる見込みです。ちなみに過去最大の値上げであった2021年は10.9%でした。
現在の保険料率は居住する地域にかかわらず全国一律ですが、それを河川との近さや海抜の低さなど水害の発生リスクを反映して、市区町村別に5段階に分けられます。最もリスクが高い地域と低い地域の料率差は1.5倍の開きが出る見通しのようです。新しい参考純率を導入するにあたっては、適正に保険金支払リスクを反映させれば料率差は2.0倍の開きになってしまうため、まずは1.5倍に抑え、数年かけて本来の料率差に戻していくとのことです。水害リスクの低いマンションでは、火災保険の更新時に、保険料の削減などを目的に水災保険を付保しないところもあるように、水災保険の付帯率が、2017年度の71%から2021年度では約65%と、年々下がっています。水害リスクの高い地域の保険料が大幅に上がってしまうと、本来水害リスクの高い地域の物件に保険を掛けてもらわなければならないのに、保険を掛けないことになってしまう懸念がでてくるため、まずは1.5倍に抑えたようです。
水害リスクがほとんどないのに水災保険を掛けることは無駄かもしれませんので、一度、水害リスクの程度を確認した上で水災保険を付保するかどうかを判断してもらえればと思います。水害リスクの程度を確認する方法として、ご存じのように「ハザードマップ」があります。「ハザードマップ」は「自然災害による被害の軽減や防災対策に使用する目的で、被災想定区域や避難場所・避難経路などの防災関係施設の位置などを表示した地図」のことで、市町村から配布されています。ただし、その「ハザードマップ」は市町村ごとのマップですので、隣接市町村の方に避難した方がよくても、それを知ることができません。そのため、国土交通省は、日本地図上で災害リスクを把握できるようにし、複数の災害リスク(「洪水浸水想定区域」と「道路冠水想定箇所」など)を重ねて表示できるようにした「重ねるハザードマップ」を提供しています。住所を入力する、現在地を検索するだけで、その地点の災害リスクや災害時にとるべき行動が文字で表示される機能があります。また目が不自由な人でも音声読み上げソフトを使うことで、ポイントが読み上げられるようになっています。
この「重ねるハザードマップ」は、以下のURLから見ることができます。
https://disaportal.gsi.go.jp/
試しに私の事務所の住所を入力して調べてみたところ、最初に以下のようなメッセージが表記されました。
「ここは、洪水、内水、高潮、土砂災害、津波による被害の危険性が想定されている場所ではありません。周りと比べて低い土地や崖のそばなど危険を感じる場合には、地方自治体からの避難情報などを参考に必要に応じて避難してください。」
次に左上にある災害種別で「洪水」を選択しますと、以下のハザードマップが表示されました。
当事務所は大阪の上町台地にあるため、浸水するおそれは全くないようです。そのほか、「土砂災害」、「高潮」、「津波」のリスクもありませんでした。そのためか、私の事務所の周囲では分譲マンションが乱立しており、今なお建設されています。
予定ですと来年には水災保険の保険料が値上がりしますので、もし来年更新時期にあたり水災保険の付保を検討することがありましたら、その判断材料の1つとして、この「重ねるハザードマップ」でご自分のマンションの災害リスクを調べてみてはいかがでしょうか。