3つの化学物質がシックハウスに追加予定
厚生労働省は15年ぶりに新たな物質をシックハウスに追加する方針を固めたようです。有識者の検討会で合意されており、年内に正式に決定するとのことです。新たにシックハウスとして指針値が設定されるのは、水性塗料の溶剤に使われている「テキサノール」と、接着剤や塗料に含まれる「2–エチル–1–ヘキサノール」、医療、食品包装材料、プラスチック製品に適用されている「2、2、4–トリメチル–1、3–ペンタンジオールジイソブチレート(TXIB)」です。テキサノールは、既に指針値が設定されているフタル酸エステル類の代わりに広く使われており、2-エチル-1-ヘキサノールはオフィスなどのビニール製の床材から放散されて問題になっています。
塗料には水性塗料と油性塗料があり、一般的に、水性よりも油性の方が長持ちすると言われています。以前は、特に溶剤(油性)2液型タイプの塗料は水性1液型と比べると、耐久性・密着性共にたいへん優れており仕上がりにも明らかに差がありました。しかし最近は、メーカーの努力で水性塗料でも油性塗料に負けないほどの性能が向上してきています。水性塗料は油性塗料よりも値段が安くて保管しやすい、そして何よりも臭いがほとんどありませんので、大規模修繕工事では水性塗料が使用さることが非常に多いです。今後大規模修繕工事での塗装においては、水性塗料の溶剤に使われている「テキサノール」には特に注視したいと思います。
また、今回3つの化学物質が追加されるのと同時に、「キシレン」、「エチルベンゼン」、「フタル酸ジ–2–ブチル」、「フタル酸ジ–2–エチルヘキシル」の4つの化学物質が改定される予定です。キシレンの濃度は従来の4分の1、エチルベンゼンは66分の1までに引き下げられます。指針値自体に法的強制力はありませんが、業界が自主規制する際の根拠になったり、文部科学省が教室の環境衛生を定めた「基準値」として使用されたりするなどの一定の効果を上げているようです。 教室の環境衛生については、北海道のオホーツク海に面した小学校において,新築校舎使用開始後,全児童17人中10人と教職員9人中3 人が様々な体調不良を訴えた事例がありました。竣工後約6ヵ月を経過した時点で室内空気中化 学物質を精査したところ,指針値の設定されていないテキサノールなどが高濃度で検出されたとのことで、新校舎内壁面の塗装に使用された水性塗料成分であることが判明しました。新規化学物質の指針値案と、4つの化学物質の指針値書いて案は下記のとおりです。
≪新規案≫
2–エチル–1–ヘキサノール 130
テキサノール 240
2、2、4–トリメチル–1、3–ペンタンジオールジイソブチレート(TXIB) 100
≪改定案≫
キシレン 870→200
エチルベンゼン 3800→58
フタル酸ジ–2–ブチル 220→17
フタル酸ジ–2–エチルヘキシル 120→100