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第4回「マンション管理の新制度の施行に関する検討会」

 本来、「マンション管理の新制度の施行に関する検討会」の第4回目は3月に実施して、基本方針、管理適正化指針等の方向性について検討される予定でしたが、急遽、1月29日に開催され、予定していた検討議題と違う「総会・理事会のデジタル化」について議論されました。昨年、新型コロナウイルス感染が拡大するなかで、従来の方法での総会や理事会の開催が困難なことから、オンラインでの開催を模索する管理組合が増加したことを受けて、オンラインでの議決権行使の取り扱いや招集手続きについての法解釈を、区分所有法やマンション標準管理規約等に明確化する必要があると判断したからです。
 第4回検討会で使用された資料に、マンション標準管理規約(単棟型)の改正(案)がありましたが、その内容のほとんどは「コメント」の改正で、条文自体の改正は、第47条第1項と第53条第1項と第42条第3項のみです。
 第47条第1項と第53条第1項は、条文中の「会議」に(WEB会議システム等を用いた会議を含む。)を追記しているだけです。第42条第3項は、次の2項に分けて規定しています。
第3項:理事長は、通常総会を、毎年1回、招集しなければならない。
第4項:前項に規定する通常総会の招集時期は、新会計年度開始以後2か月以内でなければならない。ただし、災害又は感染症の感染拡大等によりやむを得ない場合においては、この限りでない。

 そして、「コメント」で追加されたものでは、次のようなものがあります。
第43条(招集手続)関係
WEB会議システム等を用いて総会を開催する場合における通知事項のうち、「場所」については、当該WEB会議システム等にアクセスするためのURL、ID及びパスワードが考えられる。
第46条(議決権)関係
⑧WEB会議システム等を用いた総会において議決権の行使をする場合や、物理的な場所が用意されて開催される総会に組合員がWEB会議システム等を用いて出席し議決権を行使する場合については、当該組合員本人が総会が開催される物理的な場所に行って議決権を行使する場合と同様の取扱いとなると考えられる。ただし、第三者が組合員になりすました場合やサイバー攻撃や大規模障害等による通信手段の不具合が発生した場合等には、総会の決議が無効となるおそれがあるなどの課題に留意する必要がある。
第47条(総会の会議及び議事)関係
① 第1項の定足数について、組合員がWEB会議システム等を用いて出席し議決権を行使することが可能である場合については、当該組合員本人が総会が開催される物理的な場所に行って議決権を行使する場合と同様、当該組合員についても出席組合員に含まれると考えられる。ただし、出席組合員として扱われるのは議決権の行使が予定される出席者に限られていることから、単なる傍聴人としてWEB会議システム等を用いて議事を傍聴する組合員については、出席組合員には含まれないと考えられる。
第53条(理事会の会議及び議事)関係
⑤ 理事会に出席できない理事について、WEB会議システム等を用いた理事会参加や議決権行使を認める旨を、規約や第70条に基づく細則において定めることも考えられる。また、理事会に出席できない理事に限らず、理事会を開催するための物理的な場所が用意されておらず、WEB会議システム等における会議を理事会として開催することを認める旨を、規約において定めることも考えられる。いずれの場合においても、WEB会議システム等を用いることができない理事に対しては、理事会の議事について質問の機会の確保、書面等による意見の提出や議決権行使を認めるなどの配慮や、通常の理事会と同様、規約や使用細則等に則り理事会議事録を作成することが必要となる点などについて留意する必要がある。
なお、第1項の定足数について、理事がWEB会議システム等を用いて出席し議決権を行使することが可能である場合については、当該理事本人が理事会が開催される物理的な場所に行って議決権を行使する場合と同様、当該理事についても出席理事に含まれると考えられる。ただし、出席理事として扱われるのは議決権の行使が予定される出席者に限られていることから、単なる傍聴人としてWEB会議システム等を用いて議事を傍聴する理事については、出席理事には含まれないと考えられる。

 既にWEB会議システム等を導入されている管理組合様や、管理規約の法的整備ができないで導入に二の足を踏んでおられる管理組合様にとっては、期待外れの改正案ではないかと思われます。WEB会議システム等の導入の際にはコメント内容がとても重要であり、それを反映した条文規定を管理組合様は期待していたと思います。
当事務所では、すでにWEB会議で理事会を開催できるための管理規約案を作成し、管理組合様にいつでもご提案できるようにしました。
以下が、その一部です。

第52条(招集)

第4項:理事会を招集するには、少なくとも会議を開く日の○週間前までに、会議の日時、場所及び目的を示して、役員に通知しなければならない。

第5項:前項の通知は、書面又は電磁的方法により、理事会に対し役員が届出をしたあて先に発するものとし、第53条第1項第二号に規定するオンライン方式で会議に参加するためのログイン方法も通知しなければならない。

第6項:第4項にかかわらず、緊急を要する場合には、理事長は〇日間を下回らない範囲において、第4項の期間を短縮することができる。

 【参考資料】
  ITを活用した総会の在り方検討会 報告書・ガイドラインの概要

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