マンションでの置配
今年は、物流の２０２４年問題が大きく取り上げられています。「物流の２０２４年問題」とは、働き方改革関連法によって、２０２４年４月１日以降、「自動車運転の業務」に対して、年間の時間外労働時間の上限が９６０時間に制限されることで発生する諸問題の総称です。この問題のひとつとして、宅配ドライバーの過酷な労働状態が取り沙汰されており、とくにドライバーにとって大変なのは再配達（国土交通省によれば、２０２３年末の時点で宅配便の再配達率は11.1％）で、その解決策として、国は宅配ボックスの設置に助成金を設けて促進させようとしています。また宅配業者は、通常の宅急便に「置き配」指定を導入することを決めています。たとえば、ヤマト運輸は、個人向け会員サービス「クロネコメンバーズ」に登録している会員には、６月１日から「ご不在通知」、「My荷物一覧」の画面の「受け取り日時・場所変更」で「置き配」を選択できるようになります。さらに、玄関ドア前、宅配ボックス、物置、車庫などの置き場所も指定でき、配達が完了すると、荷物が置かれた場所の写真が「お届け完了通知」に表示されます。アマゾンでは、指定していないにもかかわらず「置き配」されている場合があります。
朝から晩遅くまで、重い荷物を抱えて、時には階段を駆け上って配達される宅配ドライバーには本当に頭が下がる思いです。宅配便という便利なシステムを持続可能にしていくためには、ドライバーの皆さんの負担を減らして労働環境を改善する必要があり、「置き配」は、誰にでもすぐにできる有効な対策となりうるとは思います。
しかし、この「置き配」は、オートロックの分譲マンションにおいては様々の問題、特に防犯防災上の問題をクリアーする必要があり、「置き配」に賛成の居住者、「置き配」を防犯上容認できない居住者の合意形成を図ることはとても難しいです。「置き配」に関して、国土交通省はマンション標準管理規約に次のような内容をコメントしています。
「専用使用部分でない共用部分に物品を置くことは原則として認められないが、宅配ボックスが無い場合等、例外的に共用部分への置き配を認める場合には、長期間の放置や大量・乱雑な放置等により避難の支障とならないよう留意する必要がある。」
「置き配」のルールについては、区分所有者等が話し合って、より実情にあった形で決めることになり、例外的に置き配が認められる場合というのがどの程度の範囲までをさすのか、「長期間」が具体的にどれくらいの期間なのかが話し合われることになると思います。
私が顧問契約しているマンションでも、この「置き配」について理事会で検討されており、とりあえず、「amazon key」と「スマート置き配（ライナフ）」の資料を取り寄せて、そのシステム内容を確認しています。「置き配」について検討されておられる管理組合様のために、その資料を掲載しますので、一度ご覧いただければと思います。