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大規模修繕工事足場解体中での死亡事故について

大規模修繕工事用足場の解体作業が行われていた東京都港区六本木のマンションの9階部分から鉄パイプが落下して通りがかった男性の頭部に突き刺さり、その男性が死亡しました。事故が起きたマンションは10階建て35戸の投資型ワンルームマンションで、今年の6月から大規模修繕工事を実施し、10月末又は11月初めに完了する予定でした。分譲マンション大規模修繕工事現場での死亡事故は、作業員が足場から転落する事故の場合がほとんどで、今回のような第三者が死亡するケースは非常にまれのようです。
元請け業者のアール・エヌ・ゴトーによると、落下した鉄パイプは、作業員の転落を防止する目的で2009年に設置が義務付けられた「下桟」と呼ばれる枠組み足場用資材で、解体・荷下ろし作業中にパイプが落下したわけでなく、「下桟」を固定する2カ所ある金属製留め具が両方とも外れて自然落下したと考えられています。「下桟」と「筋交い」の固定は、「下桟」と「筋交い」に開けられた穴をピンに通した後に先端を直角に曲げて固定する「グラビティロック」という固定方法で行われていました。前日に作業上一度ロックを外しているようで、ヒューマンエラーの可能性もあるようです。

グラビティロックのイメージ写真↓
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足場には、落下物による通行人のけがなどを防ぐための「朝顔」と呼ばれる防護板が設置されることが多いですが、事故当日は、足場の荷下ろしのために、この「朝顔」の一部が外されており、約3.6mの隙間ができていました。警備員2人を配置して、歩道の幅5mのうち建物寄りの約3mを封鎖して通行人を車道寄りの迂回路に誘導していましたが、その迂回路で男性は事故に遭っています。警視庁は、留め具が外れたことが直接の原因とみていますが、迂回路の設定や誘導の方法が適切であれば、落下物が当たるのを防げた可能性もあるとみており、歩道上の安全確保が十分であったたかどうかも調べているようです。今回の事件が起きたマンションは車道に接して建てられた建物ですが、車道に接していないマンションでの大規模修繕工事の場合には、この「朝顔」が設置される個所としては、住民の方が出入りするエントランスや駐車場及び駐輪場に向かうための出入り口で、また1階に店舗がある場合でしたら、店舗出入口の上にも「朝顔」を設置します。現在私は2件のマンションで大規模修繕工事のコンサルティングをさせていただいていますが、そのうちの1件は11月中旬から12月初めにかけて足場の解体が行われますので、早急に管理組合と元請け業者及び工事監理会社と十分に安全対策を協議して足場解体を迎えたいと思います。

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