タワーマンション高層階 増税
管義偉官房長官は10月24日の記者会見で「実際の取引価格を踏まえた固定資産税の按分方法を検討している。今後の税制改正で検討する。」と述べていました。対象は大都市圏で増える「タワーマンション」で、20階建て以上を想定しているようです。
タワーマンションでは、同じ面積でも上層階に行くほど景観がよくなるため取引価格が高くなっています。しかし、固定資産税や相続税の算定基準となる「固定資産税評価額」は、マンション1棟の評価額を各部屋の床面積で割って計算しているため、同じ面積ならば最上階でも1階でも同じ評価額になり、固定資産税も相続税も原則的に同額となります。この結果、マンションの高層階の部屋を購入すれば、現金のまま相続するよりも相続税の金額が安くなっています。例えば現金1億円を相続すれば、財産額から差し引ける非課税枠(基礎控除)などを考慮しない単純計算の場合で税率30%相当の3,000万円の税金がかかりますが、一方1億円で高層マンションを購入すれば、課税上の評価額が数分の1ほどに小さくなり、もし評価額が3,000万円なら相続税は15%相当の450万円ですむことになります。2015年1月から相続税が引き上げられたことで、タワーマンションによる節税の人気が高まっており、専門家の間では「一部の資産家しか使えないような節税策は規制すべきだ」といった声も出ていました。
総務省が検討している新しい評価額の仕組みとは、高層マンションの中間の階は現行制度と同じ評価額にする一方、中間階よりも高層の階では段階的に引き上げ、低層の階では段階的に引き下げるという仕組みで、新しい税制の対象は2018年以降に引き渡される新築物件に限定し、既存の物件は現行の税制を適用するとのことです。もし既存の物件が現行の税制のままで適用となれば、既存タワーマンションの高層階の部屋については、ますます節税対策の物件となるような気がします。国土交通省が9月28日に発表した6月の不動産価格指数(2010年平均=100)のうちマンションは、前年同月比8.6%上昇の130.1でした。この指数が130を超えるのは初めてのようで、約3年で3割上昇しています。この数字を見ても、節税対策が背景にあるように思えてなりません。