マンションの排水管改修工事で法令違反トラブル
京都府左京区のマンション管理組合様が、消防法令などに違反して給排水設備の改修工事が行われたとして、東京の改修元請け業者や兵庫の下請け業者、そして設計・監理者ら7者に補修費用等、約3億9683万円の損害賠償と戸当たり6万円の慰謝料の支払いなどを求める訴訟を京都地方裁判所に起こしています。
改修工事の完了5年後に、住民によるリフォームが行われた際に、法令違反があるのではないかとの指摘があり、元請け業者に投げかけたところ「問題はない」との回答だったそうですが、翌年の消防署の立入り調査で、検査した全ての住戸が不備事項を指摘され是正指導を受けました。そのため、別の1級建築士事務所に調査依頼した結果、排水管区画貫通部分に重大な欠陥があることが分かったようです。
火災の発生を防ぎ、人の生命と財産の安全確保を目的として、建築基準法と消防法が制定されています。建築基準法では、建築物の規模等に応じて火災発生時の延焼の拡大防止を図り、損害を最小限度に留めることを目的とした「防火区画等」が法令上で規定されており、消防法では、それぞれの建築物に適した消防用設備により火災の発生や延焼を防止し、被害を最小限に食い止めることを目的として、消防用設備を設置するか、それを効率的に運用できるように必要な区画が規定されています。
消防庁告示第2号(平成17年3月25日)「特定共同住宅等の位置、構造及び設備を定める件」には、マンション(正確には特定共同住宅等)の住戸等は、開口部のない耐火構造の床か壁で区画しなければならならいことを規定しています。ただし、床または壁を貫通する配管や電気配線などが決められた基準に適合すれば良しとしています。その決められた基準のなかで、次のような内容の基準が設けられています。
・配管と貫通部は、一体として通常の火災時の過熱に2時間以上耐えられる性能を有していること
・貫通部は、モルタル等の不燃材料で完全に埋め戻すなどして、十分な気密性を有するように施工すること
今回は、この基準が満たされておらず、貫通部分の配管の被膜が剥がれて硬質塩化ビニール管が露出している箇所があり、かつ貫通する配管と開口部の隙間が不燃材料で充分に埋められていなかったようです。
現在、元請け業者、設計・監理業者は訴訟の却下・棄却を求めて争うようで、訴訟の次回期日は3月の予定です。内容が分かり次第お知らせしたいと思います。