マンション管理士は「先生」と呼ばれる職業なのか
あるテレビドラマの弁護士のセリフに次のような言葉がありました。『弁護士は先生と呼ばれる。医者でも教師でも政治家でも、先生なんて呼ばれる商売は、思わぬところで人に影響を与えるんだ。責任を持てぬことはやっちゃいかん。』
マンション管理士である私のことを「先生」と呼ばれる管理組合の役員様がたまにいらっしゃいます。その時は、「先生」と呼ばずに「さん」付けで呼んで下さいとお願いしますが、それでも「先生」と呼ばれることがあります。この「先生」には、どのような意味があるのか調べてみました。広辞苑によりますと、次の4つの意味があるようです。
1. 先に生まれた人。
2. 学徳のすぐれた人。
3. 学校の教師
4. 医師・弁護士など、指導的立場にある人に対する敬称。
5. 他人を、親しみまたはからかって呼ぶ称。
そして、「先生」と呼ばれる立場の人の職業はというと、次のような職業があります。
*教師
*幼稚園や保育園の職員
*大学教授
*医師
*カウンセラー
*芸術家
*小説家
*漫画家
*画家
*作詞家・作曲家
*弁護士等の士業
*政治家
*宗教関係の人
教師や幼稚園・保育園の職員、大学教授などには、「先生」と相対する立場の「生徒」などの人がおり、医師やカウンセラーには「治して欲しい人」がいます。そして、士業の方には「助けて欲しい人」がいます。教師や大学教授、医師が「先生」と呼ばれることに違和感がほとんどありませんが、士業の方が「先生」と呼ばれることには少し違和感があります。何故「先生」と呼ぶのか。ある方の説明によりますと、何とかして助けて欲しいと思う人がへりくだって相手を持ち上げて「先生」と呼んでいると。
マンション管理士も士業ですので、管理組合様から報酬をいただくわけですが、弁護士の方ようにへりくだって持ち上げていただく必要は全くないと思います。マンション管理士は、上から目線で管理組合様に何かを教える立場というよりも、管理組合様が適正な管理を行うためには、何をしたらよいのか、何を準備しておけばよいのか、マンション内の諸問題をどのように対応したらよいのかを一緒になって考えていく、その際に必要な知識と助言を提供する立場だと思っています。ですから、他のマンション管理士の方がどう思われているかはわかりませんが、マンション管理士を「先生」などと呼ぶ必要は全くないと私は考えます。ただし、冒頭のセルフにあるように、少なからずも人に影響を与える立場であることを肝に銘じておかなければならないとは思います。