マンション管理業者19社に是正指導 ~ 全国一斉立入検査結果(令和3年度)~
国土交通省は、マンション管理業者が適正化法に基づいて適正にマンション管理業を営んでいるかどうかを、毎年10月から3ヶ月ほどかけて、マンション管理業者の事務所等への立入検査を実施しています。そして、その検査結果を翌年の7月末に公表しています。今年も、7月28日に公表されています。直近5年間の是正指導管理業者数と、各適正化法条項是正数は、以下のとおりです。是正指導管理業者数は2020年度からかなり減っていますが、まだ19社あります。また、管理委託契約の重要事項の説明等の是正数が毎年一番を多いのがわかります。
ここで指摘されている各適正化法条項を少し見ていきたいと思います。
(管理業務主任者の設置)
第五十六条 マンション管理業者は、その事務所ごとに、事務所の規模を考慮して国土交通省令で定める数の成年者である専任の管理業務主任者を置かなければならない。
国土交通省令で定める管理業務主任者の数とは、「委託を受けた管理組合の数を30で割った数(1桁未満の端数は切り上げる。)です。
(重要事項の説明等)
第七十二条 マンション管理業者は、管理組合から管理事務の委託を受けることを内容とする契約を締結しようとするとき(次項に規定するときを除く。)は、あらかじめ、 国土交通省令で定めるところにより説明会を開催し、当該管理組合を構成するマンションの区分所有者等及び当該管理組合の管理者等に対し、 管理業務主任者をして、管理受託契約の内容及びその履行に関する事項であって国土交通省令で定めるもの (以下「重要事項」という。)について説明をさせなければならない。
次項に規定する昨年と同一条件の場合は除いて、必ず住民説明会を開催して契約内容を説明しなければなりません。
(契約の成立時の書面の交付)
第七十三条 マンション管理業者は、管理組合から管理事務の委託を受けることを内容とする契約を締結したときは、当該管理組合の管理者等に対し、遅滞なく、次に掲げる事項を記載した書面を交付しなければならない。
一 管理事務の対象となるマンションの部分
二 管理事務の内容及び実施方法(第七十六条の規定により管理する財産の管理の方法を含む。)
三 管理事務に要する費用並びにその支払の時期及び方法
四 管理事務の一部の再委託に関する定めがあるときは、その内容
五 契約期間に関する事項
六 契約の更新に関する定めがあるときは、その内容
七 契約の解除に関する定めがあるときは、その内容
八 その他国土交通省令で定める事項
この書面には、管理業務主任者の記名押印が必要です。
(財産の分別管理)
第七十六条 マンション管理業者は、管理組合から委託を受けて管理する修繕積立金その他国土交通省令で定める財産については、 整然と管理する方法として国土交通省令で定める方法により、自己の固有財産及び他の管理組合の財産と分別して管理しなければならない。
国土交通省令で定める方法には、イ、ロ、ハの3つあります。ご自分のマンションはどれかを確認して下さい。
(管理事務の報告)
第七十七条 マンション管理業者は、管理事務の委託を受けた管理組合に管理者等が置かれているときは、 国土交通省令で定めるところにより、定期に、当該管理者等に対し、管理業務主任者をして、当該管理事務に関する報告をさせなければならない。
事業年度終了後には、管理業務主任者が管理事務報告書を作成して管理者等(理事長)に報告しなければなりません。それに加えて、理事会にて月次報告がなされている場合が多いです。
国土交通省は、この立入検査結果をもって、マンション管理業協会に社員の指導要請を書面にて行っています。しかし、その内容を次に記述しますが、是正管理業者数の違いと多少の言い回しの違いだけであって、中身はほとんど一緒です。
昨年は、マンション管理適正化法が施行されて20年です。その年に実施した検査においても未だに19社が是正対象となっており、その中にマンション管理業協会に所属している管理業者もあるという現実に対して、もっと踏み込んだ厳しい対応を国土交通省はとっていただきたいと思います。
●2020年度(令和3年7月30日)要請文
今回、是正指導を実施した27社の中には、貴協会社員であるマンション管理 業者も含まれていたものである。 本要請については、立入検査の結果を踏まえ例年貴協会あて行ってきたところであるが、依然として貴協会社員であるマンション管理業者において適正化法違反が見られることは誠に遺憾である。 国土交通省としては、今回の立入検査の結果を踏まえ、今後も、引き続き、立入検査 等による指導体制の強化を図るとともに、悪質な適正化法違反に対しては、適正化法に基づき、厳正かつ適正に対処して参る所存である。 貴協会においても、法令遵守のための社員指導として導入したモニタリング制度の活 用や適正化法に基づく指定法人として、より一層、社員に対する法令遵守の徹底を図る ための研修活動等を推進するなど、マンション管理業全般の適正化に向けた社員への指導等を図られたい。 なお、今回の要請を受けての実施結果については後日報告されたい
●2021年度(令和4年7月28日)要請文
今回、是正指導を実施した19社の中には、貴協会社員であるマンション管理 業者も含まれていたものである。 本要請については、立入検査の結果を踏まえ例年貴協会あて行ってきたところである が、依然として貴協会社員であるマンション管理業者において適正化法違反が見られることは誠に遺憾である。 国土交通省としては、今回の立入検査の結果を踏まえ、今後も、引き続き、立入検査等による指導を行い、悪質な適正化法違反に対しては、適正化法に基づき、厳正かつ適正に対処して参る所存である。 貴協会においても、法令遵守のための社員指導として導入したモニタリング制度の活 用や適正化法に基づく指定法人として、より一層、社員に対する法令遵守の徹底を図る ための研修活動等を推進するなど、マンション管理業全般の適正化に向けた社員への指 導等を図られたい。 なお、今回の要請を受けての実施結果については後日報告されたい