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出席者の過半数で修繕決議を可能に変更


 昨日の「所在等不明区分所有者を集会の決議の母数から除外する仕組み」の続きで、「出席者の多数決による決議を可能とする仕組み」についてお話させていただく予定でしたが、本日の日本経済新聞の1面で、マンションの修繕決議に関する記事が大きく取り上げられていましたので、こちらの内容をお伝えしたいと思います。
 政府は、マンションの形状や効用の著しい変更がない修繕に関しては、総会で出席者の過半数で決議できるように区分所有法を改正することを検討するとのことです。現状でも出席者(現に出席された方、議決権行使書又は委任状を提出された方でそれ以外の方は含まない。)の過半数で決議できるのではないかと思われた方がおられると思いますが、そう思われた方のマンションの管理規約がそのように規定されているからです。区分所有法第三十九条には次のように規定されており、別の定めを管理規約で規定することが許されています。

区分所有法第三十九条(議事)
集会の議事は、この法律又は規約に別段の定めがない限り、区分所有者及び議決権の過半数で決する。

 区分所有法では、区分所有者と議決権の過半数としか規定されておらず、「出席者の」とはなっていません。そこで、ほとんどのマンションでは、標準管理規約第47条第2項のような管理規約に別段の定めをしています。

標準管理規約第47条(総会の会議及び議事)
第2項 総会の議事は出席組合員の議決権の過半数で決する。

 今日の記事は、区分所有法自体を標準管理規約と同じように出席者の過半数にするということです。特別決議が必要な修繕に関しても、出席区分所有者の4分の3以上に改正すること、また、管理規約に改正についても同様に出席区分所有者の4分の3以上に緩和することも検討されるとのことです。

 日本経済新聞の本日の“きょうのことば”は「老朽マンション」でしたので、そのまま記載しておきます。

景観悪化で経済下押しも
▽・・・建物や設備が経年劣化して価値が落ちてしまったマンション。決まった定義はなく、一般的に築30〜40年以上の物件を指すことが多い。都市部へ流入した人たちの住まいとして1970年以降に大量供給された建物が近年問題になっている。倒壊などの危険があるだけでなく、町の景観を悪くし地域経済を下押しする要因にもなる。
▽・・・修繕や改修、建て替えといった対策が必要になる。所有者が単一の物件とは異なり、多くの居住者が部屋ごとに所有する分譲マンションは合意形成の難しさが指摘されてきた。法制審議会は社会の必要性を踏まえて決議要件の緩和を議論している。
▽・・・将来の課題になる可能性があるのが2000年以降に都市部で急増するタワーマンションだ。居住者が多いため修繕などで合意に至るのが難しく工事の費用もかさむ傾向がある。22年4月に施行した改正マンション管理適正化法は修繕計画の策定や修繕積立金の状況を地方自治体が確認する仕組みを設けた。

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