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国土交通省からの通達:「エレベーターの安全確保の徹底について」

今月の初めに、国土交通省住宅局建築指導課から各関連団体に向けて、『エレベーターの安全確保の徹底について』の通達がなされました。これは、平成18年6月3日に東京都内で発生したエレベーター事故についての報告書が消費者安全調査委員会によってとりまとめられ、消費者安全調査委員会委員長から国土交通大臣に対して意見書が提出されたのを受けて出された通達です。

この事故は、平成18年6月3日(土)19時20分頃発生したもので、被災者が東京都内の特定公共賃貸住宅のエレベーターで1階から12階まで移動し、12階に到着して降りようとしたところ、かご及び乗降口の戸が開いたままの状態でかごが上昇し、被災者が乗降口の枠(三方枠)の上部とかごの床面の間に挟まれてしまいました。 被災者は20時10分頃に救出され、病院に搬送されましたが、21時33分に死亡が確認されたという痛ましい事故でした。本来は、かご戸と当該階の戸が開き、ばね力で「止まる」はずが、「止まる」状態が維持されず、「ブレーキの半掛かり状態での稼働」と「ブレーキの締付け不能」によりブレーキの保持力が失われた状態となってしまい、おもりとかごの重さのバランスによってかごが上昇して挟まれてしまったようです。

通達の主な内容は2点で、1つ目は、「昇降機の適切な維持管理に関する指針」及び「エレベーター保守・点検業務標準契約書」(平成28年2月19日公表)の積極的な活用です。これには、エレベーターの所有者又は管理者の方が、エレベーターを常時適法な状態に維持するために、保守点検業者の選定にあたって留意すべき事項や、保守点検契約に盛り込むべき事項について述べられていますので、保守点検業者を選定する際には、価格のみではなく、知識及び実務経験に裏打ちされた技術力も重視して選定し、契約の際には、「エレベーター保守・点検業務標準契約書」を参考にして具体的な点検周期を定め、保守点検マニュアルに定められた内容を盛り込むようにと提言されています。また、通常の保守点検については、可能な限り実測データー、イラスト、写真等で業者に報告させ、不具合の状態は分かるように記載させるとともに、処置内容も正確かつ詳細に記録し提出させるようにとのことです。

2つ目は、既設エレベーターの戸開走行保護装置の設置の促進です。以前にも「戸開走行保護装置等の設置の促進について」等で設置の促進が働きかけられていましたが、再度設置を促しています。エレベーター全体を撤去・新設する場合でなければ、この装置を設置する際には建築確認・検査は不要であることや、既にこの装置が設置されているエレベーターには、設置済みのマークをエレベーター内の見やすい場所に表示すること、またこの装置設置等でのエレベーターの防災対策改修についての補助制度を利用できる可能性が、自治体によってはあることを周知させてほしいとのことです。

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