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大阪市水道局が受水槽方式の建物における非常用給水栓設置を許可

 首都圏を直撃した台風15号は、想定外の被害をもたらしています。千葉県市原市にあるゴルフ練習場では、ネットを支える支柱がなぎ倒されて、近隣住宅に倒れ込んだまま未だ撤去出来ない状態です。また、かなりの範囲で長期間停電が発生し、復旧にかなりの時間がかかってしまい、停電の規模だけ見れば東日本大震災以降最大級の停電のようです。
 停電は、マンションの生活にも多大な影響をもたらします。それは、停電によって断水に見舞われてしまうことがあることです。明かりもない、水もない生活を強いられてしまうのです。エレベーターも使用できなくなってしまいます。一日のうち数時間の停電で済めばよいのですが、今回のように1週間以上も停電が続くと、生活状況が一変してしまいます。
停電によってマンションの断水は何故起こるのでしょうか。それは、給水のための「ポンプ」が停電で動かなくなってしまうからです。給水方式には、大きく分けて、貯水槽を設ける『貯水槽方式』と、貯水槽を設けない『直結方式』の2つがあり、さらに、それぞれポンプの有無と種類で次のような4種類に分類されます。
  ①高置水槽方式
  ②ポンプ圧送方式
  ③直結増圧方式
  ④直結直圧方式
 このうち「ポンプ」を必要とする①、②、③の方式のマンションでは断水してしまいます。反対に「ポンプ」を必要としない④では、断水は起こりません。ただし、①の場合は、断水していても高置水槽に残っている水をしばらくは使用することができます。
 今回の台風15号の停電でも、取水できた②の給水方式のマンションがあったようです。②の方式は、高置水槽は設けずに、敷地内や地下にある受水槽から加圧ポンプでくみ上げて配水する方式ですので、停電になると加圧ポンプが動きませんので通常は断水になってしまいますが、公共水道管と受水槽をつなぐ間の配管から分岐させて設けた共用水栓や散水栓から取水できたため、断水にならずに済み水に心配することは無かったようです。
 このように受水槽を通さない共用水栓がある場合には取水できますので、共用水栓が無いマンションでは、是非設置することを検討していただければと思います。ただし、受水槽を通さずに水栓を設置できるかどうかは各水道事業体によって判断が違いますので、確認が必要です。大阪市の場合は、今まで設置を禁止していたのですが、昨年の台風21号で、今回の首都圏同様に停電による断水が発生したことを教訓にし、今年9月9日に設置を認めることを発表しました。ただし、受水槽方式の建物で非常用に限り、この非常用給水栓は、蛇口のバルブ部分に鍵を差し込んで開閉する「キー式水栓」にすることが条件となっています。また、工事の際には、大阪市指定の大阪市指定給水装置工事事業者を通じて、「給水装置工事」の届出を水道局へ提出しなければなりません。
 ポンプ圧送方式で共用水栓等が無いマンションでしたら、災害時のためにも是非検討してみてはいかがでしょうか。ちなみに工事費は、大阪市水道局給水課によれば、タイルやコンクリートの斫り等がなければ、配管2mで3万~3万5千円程度だそうです。

 大阪市報道発表資料

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