2020年問題の1つエレベーター更新工事
2020年に転換期を迎え様々な諸問題が起こりうる「2020年問題」が表面化するまで、あとわずかになっています。問題が起こる分野は仕事、不動産、教育など、多岐にわたります。代表的な例としては、第2次ベビーブームに生まれた「団塊ジュニア世代」を大量採用した企業の管理職ポストが不足すること、「団塊世代」が70歳を過ぎ極端な高齢化時代に突入し、人口の減少とともに空き家・空き室が増加すること、そして教育分野では、「大学入試センター試験」の実施が年明け1月を最後に廃止され、入試の方法や学習指導要領が変更されることなどです。
マンション管理組合の現場においては、先程の空き室問題のほかにも、管理員不足の深刻化によりAI導入が促進されること、そしてエレベーターの更新時期を迎えるマンションが多くなることです。このエレベーターの2020年問題についての記事が、昨日の日本経済新聞に掲載されていましたので、その概要を少し説明したいと思います。
バブル以降の1990年代に建てられたビルやマンションのエレベーターの年間設置数は、現在の年間設置数よりも4割多い数で、そのエレベーターが2020年以降軒並みに、推奨されている設置後20~25年の更新時期を迎えます。またそれに加えて、大手エレベーター会社が1970~80年代から製造していた旧式エレベーターの部品、特に心臓部にあたる制御盤に使用される部品供給を停止します。日立とフジテックが2020年に、三菱電機が2023年、東芝が2024年に停止する予定です。ですから、更新時期、部品供給停止を迎える2020年以降にエレベーターの更新需要が高まることになります。
確かにマンションの管理組合の現場でも、最近管理会社からエレベーターの更新の話が切り出されることが多くなってきています。更新理由は、やはり前述の更新時期を迎えていること、部品供給が停止されることです。この更新需要に対応するため、大手エレベーター会社は次のような対策を現在行っています。
三菱電機は、今春開設した東京都小平市の更新専用の研修施設で現場管理や効率的に更新工事ができる人材を育てることで、日立では仮想現実(VR)の教育システムを開発して受注増に備えるとのことです。また東芝エレベーターは、交換する部品を巻き上げ機や制御盤主要部品に絞り工事期間を短縮することで対応する考えです。
独立系と言われる保守業者もこの機会に、安さを武器に虎視眈々と更新受注の獲得を狙っているため、大手エレベーター会社はその対抗措置として、今までにない低価格の提案をし始めていると、某独立保守業者から聞いていますので、
2020年以降はますます競争激化することは必定のようです。