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民泊法(住宅宿泊事業法)施行から1年

  
 夕方5時頃から関西テレビで放送されている「報道ランナー」という番組内で、「大阪・新世界に異変 商店街で「民泊」急増 中国人投資家が買収」というタイトルで「新世界市場」の事が数日前に報じられました。
 新世界市場には、50年以上前の昔に何度も行ったことがあります。新世界に一番近い小学校に通っており、母親に連れられて、この市場に買い物によく行ったものです。その当時は、当然シャッターが下りている店など一つもなく、母親の手を握っていないと迷子になるぐらいの人混みで、いまでは想像できないくらいの繁盛ぶりでした。
 当時は、3のつく日(5だったかもしれません。)の3日、13日、23日には、これも記憶が確かでないかもしれませんが、通天閣から新世界稲荷神社界隈までに夜店がでており、新世界温泉(銭湯)に入った帰りに立ち寄りました。よく親に夜店に連れていくようねだっていたことを覚えています。また、通天閣の柱にテレビが設置されていて、テレビを見ている人で一杯だったことを思い出します。いわゆる街頭テレビです。この記憶は間違いなく確かです。
 番組では、その新世界市場に「民泊」を営業する店が幾つか現れてきたことが報じられていたのです。昨年の暮れにも、新世界にスポットをあてた番組を放送したそうです。その時取材した内容は、シャッターの閉まった店舗が多く人通りも少ない新世界市場が、Wマーケットの開催時には息を吹き返したように賑わい、アジア・バリ雑貨店などの個性的な新しい店舗が出てきているというものです。しかし、その時の取材では、「民泊」を営業している店舗は無かったようです。申請中だったのかもしれませんが、この半年で急に出現したようです。
 昔の新世界は、すぐそばに愛隣地区があり労働者が屯している場所で、女性や子供は近寄らない怖いイメージの場所(私の場合は、学校帰りの遊び場で、1本10円の串カツがおやつでした。今でこそ有料になっていますが、茶臼山や天王寺公園によく行きました。)でしたが、今や大阪を代表する観光地です。私の子供の頃も「づぼらや」のフグ提灯や映画館・大衆劇・ストリップ小屋等の“のぼり旗”が数多くみられましたが、今は想像を絶するほどの派手な光景が目に飛び込むようになり、外国人観光客で溢れている状況です。また、近くにはJRと南海電鉄の「新今宮駅」や、地下鉄の「恵美須町駅」「動物園前駅」があり、USJに行くにも日本橋(大阪の秋葉原)に行くにも便利ですし、京都や奈良方面に行くにも非常に便利な場所です。そして何よりも難波などの周辺よりも不動産価格が安い事で、そこに中国人投資家が目を付けて、新世界市場のシャッター店舗を買い取り「民泊」を始めだしたとのことです。
 宿泊事業法が施行される半年ぐらい前だったと思いますが、私の事務所に民泊の件で相談のメールが入ったことがあります。相談は、香港の不動産会社からでした。相談内容は、中国人投資家から、黒門市場の近くにある賃貸マンションの物件を2件買い取ったので、そこで「民泊」を営業するために、「民泊」OKの管理規約を作成してもらえないかという依頼があったので、管理規約を作成してもらえないかという相談です。「民泊」するためには、どうしても管理規約が必要だったのです。つまり、賃貸マンションを区分所有建物として登記し管理規約を制定して、民泊できる区分所有の一室を別の中国人投資家達に売りさばくつもりなのです。その後、何度かメールのやり取りを行い、管理規約作成業務の見積りを出しました。しかし、管理規約の作成だけでなく、住宅宿泊管理業者への業務委託のほか通常の管理会社への管理委託や諸々の手続が必要であることを伝えると、それ以後、梨の礫となってしまいました。その中国人投資家は、これも黒門市場の近くなのですが、戸建て物件も買ったようです。大阪の方はご存知だと思いますが、黒門市場付近は、市場以外は特に目新しものはありません。強いて言えば、高島屋の東別館があるくらいです。しかし、黒門市場も新世界同様に外国人観光客で溢れかえっていますので、この界隈の物件にも中国人投資家が目を付けていたのでしょう。
  
 今日で、宿泊事業法が施行されて丁度1年になります。当初の届出件数は、全国で2200件余りでしたが、今月7日の時点では1万7301件と、1年前の7.8倍余りに増えており、都道府県別にみると、最も多いのが東京都の5879件、次に大阪府の2789件、そして北海道の2499件と続き、この上位3県で全体の6割を占めます。全国の市町村単位で見てみますと、大阪市が全国の市区町村で最も多く2625件です。また大阪市は国家戦略特区にも指定されており、宿泊事業法物件とは別に、特区民泊の認定居室も4月末時点で7298室あるとのことです。これからも、「民泊」可能な部屋は増え続けることは間違いないでしょう。新世界市場では、今は6件程度の「民泊」営業だそうですが、市場の住民の方のほとんどが高齢者で、しかも相続してもらえない状況の下では、店舗を手放すしかないようで、今後も「民泊」営業が増えていくのではないかということです。
 最後に、リビン・テクノロジーズ株式会社が6月11日に、施行されてから1年経った「民泊」の認知調査を行っており、その内容のポイントについて少しお話したいと思います。
 まず初めに、「民泊」については約9割の方が認知していますが、利用経験者はたったの3%だけです。利用者のほとんどが外国人観光客だということでしょう。次に、「民泊」反対の理由については、やはり「犯罪等の防犯面」や「宿泊者のマナー問題」が多く、分譲マンションで一番懸念される案件でした。最後に、「民泊」の経営については、年代にもよりますが、20%ぐらいの方が経営したいと考えているようです。新世界市場で現在営業されている「民泊」物件は、全て許可申請がされており違反物件は一つもないそうです。経営される場合は、是非、許可申請して合法的に営業していただきと思います。それが、外国人観光客にとって魅力ある大阪の町づくりに繋がると思います。

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