NPO法人全国マンション管理組合連合会が意見書提出
住宅宿泊事業法(民泊新法)の成立に伴うマンション標準管理規約の改正案に対してのパブリックコメント(意見公募)が、予定通りであれば7月18日に締め切られています。その締切予定日2日前の7月16日に、NPO法人全国マンション管理組合連合会(全関連、川上湛水会長)が意見書を提出しました。
コラムでもお伝えしましたように、国土交通省は、マンション管理組合に民泊の受け入れ可否を管理規約に明記するように、来月の8月にも業界団体や自治体に対して、管理組合へ周知を求める通達を出す予定にしていますが、たとえ通達が出されたとしても、特別決議(4分の3以上)が必要な管理規約の改正を行わないマンションが実態としては多くなることが推測されるため、全関連の意見書では、管理規約が改正されなくても現状の第12条のままでも対応できるよう、住宅宿泊事業法第3条第1項の届け出時には、理事会による民泊を認める「承諾書」の添付を義務付けるように要望しています。そして、この承諾書がなければ届出を受理しないようにすべきであるとしています。「承諾書」の添付を義務付ければ、民泊を許可する場合には理事会で検討して「承諾書」を発行し、反対に民泊を許可しない場合には「承諾書」を出さなければ良いだけですので、現行の規約で済み改正する必要がないというわけです。また、「特区民泊」や「シェアハウス」に対応するために、すでに管理規約を改正したマンションもあるため、今回国土交通省が発表した改正案どおりでなくても、民泊を認めない旨の意志表示として取り扱ってもらえるように要望しています。
以下は、NPO法人全国マンション管理組合連合会のHPに掲載されていました意見書の内容です。
【国土交通省に提出した意見書内容】
(NPO法人全国マンション管理組合連合会のHPより)
NPO法人全国マンション管理組合連合会の加入団体のアンケート調査では、民泊を認めない 規約を作る予定がなく現状のままとする理事長が半数ほどいる現実があります。さらには、現状の標準管理規約の第12条「専有部分を専ら住宅として使用するものとし、他の用途に供してはならない。」がありさえすれば、民泊などは禁止されていると思い込んでいる理事長もいます。
連合会に加入している管理組合は、未加入の管理組合よりは、マンション管理に関心があると自負していますが、そのアンケートでさえ、現行の標準管理規約第12条をそのままとするマンションが多いことを踏まえて、次の意見を提出します。
1.はじめに
今回のパブリックコメントでは民泊を禁止するには、第12条に「2 区分所有者は、その専有部分を住宅宿泊事業法第3条第1項の届出を行って営む同法第2条第3項の住宅宿泊事業に使用してはならない。」を加える改正を勧めるものです。
さらに特区においては民泊新法の180日営業日数制限に縛られないため、「2 区分所有者は、その専有部分を国家戦略特別区域法第13条第1項の特定認定を受けて行う国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業に使用してはならない。」も付け加える必要があると思われます。
これらの厳密な規定のみならず、第12条に「2 いわゆる民泊・シェアハウスなどは禁ずる。」のような簡潔な規定を加えれば、例示条文と同等の取り扱いを行政上おこなうことも要望します。
2.行政上の取り扱い
第一に、違法民泊(ヤミ民泊)を徹底して排除する方策をとることが大前提です。民泊を営業しようとするときの届出書に、分譲マンションの管理規約を添付することを義務化し、マンション管理組 合がどのように考えているかを事前に把握すべきです。そのうえで、現状の標準管理規約第12条 のままの場合には、マンション管理組合理事会の「民泊を認める」との承諾書の添付を義務付けし、それがない場合は届出を受理しないようにすべきです。 これらの措置をとらずに受理した場合は、マンション管理上の紛争が発生する確率が高く、さらに訴訟に至る場合も考えられます。マンション管理組合に関する紛争の未然防止にとって非常に大切な措置となります。
第二に、アンケートではこれから「民泊を認める規約を作る」予定があるのは、ごく少数でした。しかし、マンションでも、今後空き室が増えることが予想されます。民泊を積極的に認める規約を入れる場合には、法律で定められた事項が、厳格に実施されているかどうかを監視される体制を行政として確立することが必要です。民泊新法が成立する前から、多くの違法民泊・ヤミ民泊が横行して いたのは、監視体制が十分でなかったことが原因と思われます。違法民泊はマンションにとって住環境を破壊する重大問題です。
第三に、民泊禁止を標準規約第12条に第2項として付け加えるようにすることは、事前にトラブル防止のうえで、一定の効果があると思います。管理規約の例示があることは、積極的に評価できます。ただし、マンションの実態として、このような管理規約の改正をおこなわないマンションも多く残るのではないかと推測されます。これらのマンションでトラブルの未然防止をはかるため、第一で述べた管理規約の添付と、民泊を積極的に認める理事会決議がない限り、届け出を受理しない方向を行政として明確にすべきことを改めて強調します。
第四に、違法民泊やマンション管理組合の意向を無視した民泊問題を相談する窓口を一本化して設けることを要望します。これまで、違法民泊が発生した場合、マンション管理組合では、保健所 ・市役所・警察・消防署・管理組合団体・弁護士などに相談をしていました。
一本化された相談窓口を設け、市民に周知されるようお願いします。
以上、意見として提出します。