東京都品川区の実態調査報告
東京都品川区が2016年度の分譲マンション実態調査の報告書を公表しましたが、その中で個人的に気になる結果内容がいくつかありました。
内容の前に調査対象ですが、3階建て以上の品川区内全分譲マンション1,596件にアンケートを送付して、回収できたのは400件で回収率は25.1%です。そして残りの1,196件中378件(31.6%)がアンケートの回答を拒否していたそうです。アンケート内容は、建物使用状況、管理組合、会計、防災・防犯、建て替え検討状況等についてで、かなり細かく尋ねています。また品川区を、品川地区、大崎地区、大井地区、荏原地区、八潮地区の5つの地区に分けて、地区ごとの特性などを分析しています。
それでは個人的に主に気になった結果内容ですが、次の7つです。
[1]役員改選の方法
半数改選を実施しているのが約4分の1の97件あり、思ったよりも多かったです。改選方法を決めていない組合が何と79件(19.8%)もありました。
[2]役員のうち高齢者(65歳以上)の人数
高齢化が進み高齢者が多いと思っていたのですが、意外に少ない人数でした。最も多かったのが「1~2人」77件(19.3%)、次いで多いのが「無し」66件(16.5%)でしたが、「11人以上」の回答が6件(1.5%)もありました。ただし、不明と回答した組合が196件(49.0%)もありましたので、65歳以上なのかどうかが曖昧なので回答しなかったかもしれません。それを考えると実際にはもっと多いのかもしれません。
[3]総会の出席状況(実出席率)
20%未満が一番多いと思っていましたが、20~40%が一番多く90件(22.5%)でした。次に20%未満が多く61件(15.3%)ですが、40~60%は20%未満と同じくらいの60件(15.0%)もあったことです。
[4]総会議事録の保管場所の掲示
総会議事録の保管場所を建物内の見やすい場所に掲示しなければならないことは、区分所有法に定められていますが、90件(22.5%)が実施していませんでした。ただし、アンケートを回答された役員の方が、掲示されていること自体知らなかったことも考えられます。
[5]修繕積立金の算定根拠
修繕積立金の額は、ほとんどが長期修繕計画で算出した額や、分譲時の分譲会社が設定した額ですが、管理費の一定割合で算出しているが37件(11.2%)もあり、特に根拠なしと回答した組合が何と16件(4.8%)もありました。
[6]加入している保険
損害保険が308件(77.0%)、施設賠償責任が204件(51.0%)、個人賠償責任が180件(45.0%)とそれなりに加入されていますが、地震保険は72件(18.0%)と、東京湾の沿岸に位置する品川区としては加入がかなり少ないように思います。ちなみに東京都全体では28%です。
[7]相互交流
他のマンション管理組合との交流について、必要がないと回答された組合がかなり多かったことです。「他のマンション管理組合との交流はなく必要ではない」の回答が148件で37.0%もありました。ちなみに、「周辺町会・自治会との交流はなく必要ではない」の回答も50件(12.5%)ありました。
その他報告の詳細は下記の品川区のHPでご覧いただけますので、ご自分のマンションと比較してみてはいかがでしょうか。
http://www.city.shinagawa.tokyo.jp/hp/menu000031600/hpg000031529.htm