神戸市がタワーマンション建設の規制
神戸市は昨年、三宮周辺でのタワーマンションなど大規模な住宅の建設を抑制する「都心の土地利用誘導施策」の素案を公表しました。急速に住宅が増えることにより、人口が増加して小学校などの子育て関連施設が不足する事態などを防ぎたいとう考えです。この素案では、三宮駅周辺を「都心機能高度集積地区」に指定し、原則として新たな住宅建設を禁止します。また、その周辺の商業地に「都心機能活性化地区」を指定して、敷地面積1000平方メートル以上の土地に対し、住宅に使用できる容積率の上限を400%(現行の平均容積率は600%)までに制限し、反対に住宅以外を建設する場合には容積率緩和を拡大して、オフィスや店舗の新設を促進する狙いです。神戸市の久元喜造市長は「都心のタワーマンションは抑制し、働く場所としてのオフィスや、買い物などを楽しめる場所を誘導したい」、「神戸を大阪のベッドタウンにはしない。阪神間や神戸より西の都市からも、人が集まる街にすることが持続可能な都市経営に不可欠」と述べています。
このような久元神戸市長の強い意向で、「タワーマンションのあり方に関する研究会」(座長は弁護士で明治学院大学客員教授の戎正晴氏)が立ち上げられ、昨年9月11日に初回会合が開かれました。
初回会合では、タワーマンションの問題点が洗い出され、次のような問題点が挙げられたそうです。
・全国的にタワーマンションでの修繕積立金不足が指摘されていること、またタワーマンションの修繕の方法が確立されていないこと。
・開発会社がマンションを分譲する際に、月々の修繕積立金を積み立てには不十分な金額で設定していること。
・1棟に含まれる戸数が従来のマンションとは比べものにならないほど多く、居住者以外の投資用としての所有者が多いため、管理組合での合意形成が難しい。
・短期間の急速な人口増につながることで、小中学校の過密化などインフラ不足の要因になっている現状がある。
そして12月17日に、戎正晴座長から久元神戸市長に最終報告書が手渡されました。この報告書では、「神戸版タワーマンションマネジメント制度」の構築、神戸市が保守や管理が良好なタワーマンションに「お墨付き」を与えることで、マンションの資産価値を維持できる仕組み、つまり認証制度の創設が提言されています。そして、この認証制度を創設する上で必要な取り組みとして、届け出制度の他に以下の項目を挙げています。
・維持管理計画の報告義務化の検討
・外部管理者による管理者管理方式の先例事例やメリット・デメリットなどの調査・研究
・防災対策支援のメニューの検討
・居住者の交流場所などの支援
・地域とのコミュニティー向上につながる防災関係の支援制度の検討
神戸市は今年度中にも規制内容を含む条例の成立を目指し、この報告書を基に、全国初となる認証制度の具体的内容を検討するとのことです。
詳細はこちらをご覧ください。
「都心の土地利用誘導施策」の素案 神戸市HPより