住宅宿泊事業法案が可決されました
「住宅宿泊事業法案(民泊新法案)」が昨日の参院本会議で可決されました。天皇陛下退位の特例法案も昨日可決されましたので、今日の各紙の一面はこの記事で埋め尽くされており、「住宅宿泊事業法案」についての記事はわずかでしたが、天皇陛下退位の特例法案と同じ可決日ですので、平成29年6月9日は記憶に留まる日になりました。この法案は、住宅の空き部屋を旅行者等に有料で貸す「民泊」のルールを定めたもので、3月10日に閣議決定され、6月1日の衆院本会議で可決されて、昨日の参院本会議可決の運びとなり成立しました。施行は2018年1月の予定です。
法案は、次のような構成になっています。
第一章 総則
第二章 住宅宿泊業
第一節 届出等
第二節 業務
第三節 監督
第四節 雑則
第三書 住宅宿泊管理業
第一節 登録
第二節 業務
第三節 監督
第四章 住宅宿泊仲介業
第一節 登録
第二節 業務
第三節 監督
第四節 旅行業法の特例
第五章 雑則
第六章 罰則
附則
理由
主な内容ですが、住宅宿泊事業者(民泊を事業として営む者)は都道府県知事への届け出が必要となり、年間の民泊提供日数の上限は180日です。家主居住型の民泊事業者には、宿泊者の衛生確保と安全確保、また周辺地域の生活環境への悪影響(騒音等)の防止のための説明及び苦情処理、そして宿泊者名簿の作成・備え付け、標識掲示が義務付けられました。一方の家主不在型では、住宅宿泊管理業者にこれらの対応を委託することが義務付けられています。
住宅宿泊管理業者については、国土交通省に登録申請を行わなければならず、登録されれば家主不在型の事業者から依頼を受けて義務業務を遂行します。住宅宿泊仲介業者については、国土交通省ではなく観光庁長官の登録が必要となり、民泊利用の宿泊者に契約内容等を説明する義務を遂行しなければなりません。
大阪市では民泊関連の苦情通報専門窓口を設置していますが、今年の3月までに900件の相談が寄せられているとのことです。相談内容で一番多かったのは「無許可営業の疑い」で、その他では、「騒音関連」や「ごみのポイ捨て」が多かったそうです。これらの苦情・相談等がますます増え続けることを考えますと、今でも対応に追われている行政の体制自体を大きく見直すことが、今後必須であると思われます。
住宅宿泊事業法の全文はこちらです。 ☞ 「住宅宿泊事業法(民泊新法)」