宅配ボックス設置と容積率
楽天やAmazonなどのネット通販の普及によって宅配の個数が増加しており、国土交通省の調べでは、2016年度における宅配便取扱個数は前年比プラス7.3%の40億1861万個です。そのうちの約2割が再配達になるといわれており、運送会社は年9万人に相当する労働力を再配達のために投入しており、ますますその負担が重くなっています。
こうした状況を改善するためにも、政府は4月から宅配の荷物を不在時でも受け取ることができる宅配ボックスの設置を促進するための費用として29年度予算案に5億2千万円を計上しました。設置費用は1カ所当たり150万~200万円かかり、政府は29年度で500カ所への補助を見込んでいます。
宅配ボックス設置のもう一つの促進対策として、石井国土交通大臣が昨日10日、閣議後の記者会見で、建物の大きさを制限する「容積率」規制の運用を明確化し、マンションなどの共用廊下の一部として設置される宅配ボックス部分の面積は規制の対象にならないことを周知徹底する考えを示しました。
建築基準法第52条第6項が平成9年に改正されて、「建築物の容積率の算定の基礎となる延べ面積には、政令で定める昇降機の昇降路の部分又は共同住宅の共用の廊下若しくは階段の用に供する部分の床面積は、算入しないものとする。」となったのですが、もし共用廊下に宅配ボックスを設置した場合、共用廊下に設置した宅配ボックス部分の面積が共用廊下部分ではなくなってしまい、容積率の算定の基礎となる延べ面積に算入しなければならないのではないかという考えが生じました。この算入の是非については、これまでは地方自治体ごとに判断が分かれていたこともあり、宅配ボックス設置が「容積率」規制の対象と考えて、容積率にゆとりがないマンションでは設置を断念していました。
そのため政府は、宅配ボックス設置の面積が規制の対象とならないことを周知徹底することによって、設置の促進を図り、宅配物の再配達を減らそうと考えています。そして同じ10日には、国土交通省住宅局市街地建築課から各都道府県の建築行政主務部長あてに、「共同住宅の共用の廊下に宅配ボックス等を設置した場合の建築基準法第52条第6項の規定の運用について(技術的助言)」が通知されました。
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