複数棟型のマンション敷地売却制度について
マンション敷地売却制度の複数棟型マンションへの適用関係において不明確な課題があったため、国土交通省は、施行規則と基本的な方針を改正するとともに、「耐震性不足のマンションに係るマンション敷地売却ガイドライン」を改訂して、制度活用上の留意点についてとりまとめました。
マンションの建替え等の円滑化に関する法律に基づく敷地売却制度が、単棟のマンションでは活用されていますが、団地型のマンションでの活用が進んでいないという課題がありました。今回発表されました複数棟型のマンション敷地売却制度の概要は、①土地等を共有する全棟の耐震性が不足する場合に②各棟において4/5のマンション敷地売却決議を行うことにより、③団地全体のマンション及びその敷地を買受人に売却するという枠組みをつくるというものです。
その為の具体的な措置として、まず、買受人は買受計画の認定申請において、他棟の申請予定時期を互いに記載するように、「マンションの建替え等の円滑化に関する法律施行規則」を改正しました。次に、法手続は各棟で行い、手続の同時一体性の確保や棟をまたいだ区分所有者間の衡平性を担保するために、次のようなことを関係主体が取組むべき事項として「マンションの建替え等の円滑化に関する基本方針」を改正しました。
・買受人は一者又はこれに準ずるものとする
・マンション敷地売却決議において、各棟間の区分所有者の衡平性に配慮する
・全棟がマンション敷地売却組合を設立し、相互に連携する
・マンション敷地売却組合の設立時期(公告日)は同一とする
・分配金取得計画において定める権利消滅期日を同一とする
そして最後に、関係主体が実務上において留意しなければならないポイントを明確にするために、「耐震性不足のマンションに係るマンション敷地売却ガイドライン」も改訂しています。
これらの改正等と併せて、団地管理組合等でマンション敷地売却の検討に係る費用の搬出を認める旨の「マンション標準管理規約(団地型)及びコメント」の改正も行っています。
主な改正箇所は、次のとおりです。
第28条(団地修繕積立金)新第3項
「第1項にかかわらず、円滑化法第108条第1項のマンション敷地売却決議(以下「マンション敷地売却決議」という。)の後であっても、円滑化法第120条のマンション敷地売却組合(以下「マンション敷地売却組合」という。)の設立認可までの間において、マンション敷地売却に係る計画等に必要がある場合には、その経費に充当するため、管理組合は、団地修繕積立金から管理組合の消滅時にマンション敷地売却不参加者に帰属する団地修繕積立金相当額を除いた金額を限度として、団地修繕積立金を取り崩すことができる。」
第29条(各棟修繕積立金)新第3項
「第1項にかかわらず、敷地売却決議の後であっても、マンション敷地売却組合の設立認可までの間において、マンション敷地売却に係る計画等に必要がある場合には、その経費に充当するため、管理組合は、各棟修繕積立金から管理組合の消滅時にマンション敷地売却不参加者に帰属する各棟修繕積立金相当額を除いた金額を限度として、団地修繕積立金を取り崩すことができる。」
第69条(招集手続)新第5項
「会議の目的がマンション敷地売却決議であるときは、次の事項を通知しなければならない。
一 売却を必要とする理由
二 建築物の耐震改修の促進に関する法律(平成7年法大23号)第2条第2項に規定する耐震改修(以下単に「耐震改修」という。)又はマンションの建替えをしない理由
三 耐震改修に要する費用の概算額
複数棟型マンション敷地売却制度は、全ての複数棟型マンションに適用されません。団地内に単独所有の賃貸マンション・社宅棟がある場合や、一部の棟でも耐震性を有している場合には適用されませんので、ご注意ください。
詳しくは、国土交通省のホームページをご覧ください。