大規模修繕工事に関する実態調査
昨日、国土交通省から「マンション大規模修繕工事に関する実態調査」の結果が公表されました。この実態調査は、マンション大規模修繕工事の際にマンション管理組合が適正に発注等を実施できるように、その参考資料として大規模修繕工事の金額、工事内訳及びその設計コンサルタント業務の実施内容に関して実態調査を実施したもので、今回が初めてです。初めて調査した背景は、一昨年の秋に、一般社団法人マンションリフォーム技術協会からマンション改修業界の健全な発展のためにと、「不適切コンサルタント問題への提言」が発表され、施工業者の選定に際して、管理組合の利益と相反する立場に立つ悪徳コンサルタントの存在の指摘があったからです。国土交通省はこの提言の内容を受けて、マンション管理センターやマンション管理業協会、日本マンション管理士会連合会に通達を出し、今までにない速さで対応しました。また各マスコミからもこの問題が取り上げられ、提言内容である不適切コンサルタントの存在が浮き彫りになりました。
この調査結果は、昨年の5月から7月に、全国各都道府県の建築士事務所協会に登録された事務所やマンション関連団体会員社等から、マンションの設計・管理等に関する企業を対象に抽出して実施したアンケートによるもので、134社の過去3年間の944事例を分析しています。
主な調査項目の一つ目は、大規模修繕工事の「工事内訳」と「工事金額」で、次のような結果となっています。
<工事内訳>・
外壁塗装+外壁タイル 24.0%
屋根防水+床防水 22.0%
仮設工事 19.2%
給水設備 6.9%
鉄部塗装 4.9%
<工事金額(戸当り)>
50万円~75万円 13.8%
75万円~100万円 30.6%
100万円~125万円 24.7%
二つ目の調査項目は、コンサルタント業務の「業務内訳」と「業務量」で、こちらの方は次のような結果となっています。
<業務内訳>
調査診断 15.2%
設計 31.8%
施工会社選定協力 8.1%
工事監理 40.3%
長期修繕計画の見直し 3.6%
<業務量(人・時間)>
100人まで 30.3%
100人~200人 31.1%
国土交通省は、大規模修繕工事を設計コンサルタントに発注する際に事前に検討した方が良い点として、次の事項を掲げています。
・工事内訳に過剰な工事項目・仕様の設定等がないか。
・戸あたり、床面積あたりの工事金額が割高となっていないか。
・設計コンサルタントの業務量(人・時間)が著しく低く抑えられていないか。特に業務量のウェートの多くを占める工事監理の業務量が低すぎないか。
今回の実態調査結果は、これから大規模修繕工事を予定している管理組合様にとっては、1つの指標となりうると思いますので、是非参考にしていただければと思います。
詳しい調査結果はこちらをご覧ください。
「マンション大規模修繕工事に関する実態調査」