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第3回マンション管理の新制度の施行に関する検討会

 第3回目の「マンション管理の新制度の施行に関する検討会」(座長:斎藤広子横浜市立大学教授)が9月15日(火)に開催され、マンションの管理の適正化の推進を図るための基本的な方針の概要(案)について議論がなされました。
基本方針の概要(案)は以下のとおりです。

【基本方針概要(案)】

一 マンションの管理の適正化の推進に関する基本的な事項
管理組合、国、地方公共団体等の役割
(1)管理組合及び区分所有者の役割
(2)国の役割
(3)地方公共団体の役割
(4)マンション管理士及びマンション管理業者等の役割

二  マンションの管理の適正化に関する目標の設定に関する事項

三  管理組合によるマンションの管理の適正化の推進に関する基本的な指針(マンション管理適正化指針)に関する事項
1 管理組合によるマンションの管理の適正化の基本的方向
2 マンションの管理の適正化のために管理組合が留意すべき事項
(1)管理組合の運営
(2)管理規約
(3)共用部分の範囲及び管理費用の明確化
(4)管理組合の経理
(5)長期修繕計画の策定及び見直し等
(6)発注等の適正化
(7)良好な居住環境の維持及び向上
(8)その他配慮すべき事項
3 マンションの管理の適正化のためにマンションの区分所有者等が留意すべき事項
4 マンションの管理の適正化のための管理委託に関する事項

四  マンションがその建設後相当の期間が経過した場合その他の場合において当該マンションの建替えその他の措置に向けたマンションの区分所有者等の合意形成の促進に関する事項

五  マンションの管理の適正化に関する啓発及び知識の普及に関する基本的な事項

六  マンション管理適正化推進計画の策定に関する基本的な事項
1 マンションの管理の適正化に関する目標
2 マンションの管理の状況を把握するために講ずる措置に 関する事項
3 マンションの管理の適正化の推進を図るための施策に関する事項
4 管理組合によるマンションの管理の適正化に関する指針(都道府県等マンション管理適正化指針)に関する事項
5 マンションの管理の適正化に関する啓発及び知識の普及に 関する事項
6 計画期間
7 その他マンションの管理の適正化の推進に関し必要な事項

七  その他マンションの管理の適正化の推進に関する重要事項
1 マンション管理士制度の一層の普及促進
2 管理計画認定制度の適切な運用
3 都道府県と市町村との連携
4 修繕等が適切に行われていないマンションに対する措置
5 修繕工事及び設計コンサルタントの業務の適正化
6 ICT化の進展への対応

 三つめの「管理組合によるマンションの管理の適正化の推進に関する基本的な指針」についての条文については、特に委員の意見が多かったようで、主に次のような意見があったようです。

<条文>管理組合による適切な運営や区分所有者等による管理組合の運営への参加、外部専門家の活用時の適正な業務監視等が重要である。
<意見>外部専門家の活用如何に関わらず、業務監視は管理組合の役割であり、「適正な業務監視等が重要である」ことを強調しても良いのではないか。

<条文>管理規約:規約や使用細則等のルールを定め、違反行為があった場合の是正措置等が重要。
<意見>管理規約でルールを定めるだけでなく、内容の周知も必要であり、購入者だけでなく従前からの居住者にも最新の管理規約を定期的に配布することが必要ではないか。
<意見>「違反行為があった場合の是正措置等」に関して、管理費等の滞納時の措置についても具体的な記述があるとよい。

<条文>共用部分の範囲及び管理費用の明確化:専有部分と共用部分の区分等、各部分の範囲やこれに係る負担を明確化することが望ましい。
<意見>共用部分の範囲は法律に基づき建物の構造と機能から当然に決まるため、「望ましい」と表現することは、管理組合自ら共用部分の範囲を管理規約で決められるとの誤解が生じ、混乱を招きかねない。共用部分の範囲は法律で決まるが、各専有部分に共通して存在する設備等を共有部分と見なして管理組合の予算で実施した工事をめぐる裁判例もある。「明確にしなければならない」といった表現とし、工事の費用負担については明確にしておくべきではないか。
<意見>共用部分と専有部分で一体的に改修工事を行う例が増え、その際に修繕積立金から支出する範囲をめぐるトラブルも増えている。全てのマンションで共用部分の範囲を明確に決めておくべきなのか、工事の合理性という観点から、管理組合において一定の柔軟性を持って合意形成すべきなのか。後者が望ましいと思う一方、トラブル回避の観点から明確に決めておくことも一理あると考えられ、地方公共団体が認定を行う際に判断がぶれないよう、助言・指導・勧告に関するガイドラインでも、法律や標準管理規約の内容を踏まえた内容としてほしい。

<条文>発注等の適正化:利益相反等に注意することや発注等に係るルールの整備が必要。
<意見>発注先決定までのプロセスを透明化しておくことが必要である。
<意見>「発注等に係るルール」の具体的内容はどのようなものが想定されるのか。管理、工事、施工の発注はそれぞれ性格が異なるため、管理組合が混乱しないようにしてほしい。

 その他にも、「平成29年の個人情報保護法改正により、入居者などの名簿を管理する管理組合も個人 情報取扱事業者となっている点も基本指針の中で触れた方がよい。」、「助言・指導・勧告の判断基準の目安に「管理規約が必要に応じて改正されていない」と追記してはどうか。また、管理規約の原本が存在することを 助言・指導・勧告の判断基準の目安と管理計画認定の基準の両方に含めてはどうか。」などの意見があったようです。
 また、一つ目の「マンションの管理の適正化の推進に関する基本的な事項」については、「分譲時の適切な長期修繕計画案の作成は重要であり、もう少し書き込めないか。また購入時には重要事項説明に加えて長期修繕計画の内容も理解するのは難しいと思われるので、分譲会社が長期修繕計画の平易なダイジェスト版を作成して、購入者に提供することも考えられないか。」との意見があり、修繕積立金の算出方法や積立方式(均等積立方式、段階増額積立方式)の説明とともに、是非行っていただきたいと思います。

 次回の検討会は、来年の3月に開催される予定です。

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