福岡の傾斜マンション「ベルヴィ香椎六番館」が建替えに向けて始動
25年前に分譲された福岡市のマンション「ベルヴィ香椎六番館」(60戸)に傾きが生じている問題を何度も紹介させていただきましたが、昨日(11月8日)、臨時総会が開催され、傾斜したベルヴィ香椎六番館を建て替える案が承認されました。
このベルディ香椎六番館では、入居当初から傾きやひび割れなどの不具合が続出しており、25年という長い戦いの末、住民の怒りと執念で、3社(JR九州、若築建設、福岡商事)のトップに施工不良を認めさせ、今年の7月、3社はやっと謝罪しました。その後3社から、「建替え」、「補修」、「購入価格での買取」の3つの提案があり、住民アンケートで意見を聴収したところ「建替え」の意見が8割を超えていたことから、昨日の臨時総会の開催の運びとなったようです。
まず、午前中に、建替える六番館の総会が開催され、95%の賛成で「建替え決議」(5分の4以上が必要)が承認されました。そして、午後の壱番館から八番館までの7棟(四番館は欠番)による全体の総会で、午前の「建替え決議」を承認する「承認決議」(4分の3以上が必要)が可決されました。計286個の議決権の4分の3を超える234個で六番館の建替えが承認されたのです。
団地において、同一の敷地内に数棟の建物がある場合には、1つの棟の建替えは、他の棟にも無関係ではありません。都市計画法や建築基準法などでその土地の建ぺい率や容積率が定められていますので、他の1つの棟の建替えで自分の棟が将来の建替え時に使用できる建ぺい率や容積率が少なくなるような影響がでる可能性があります。そのため、全体の総会で、1つの棟の「建替え決議」を承認するかどうかの「承認決議」が諮られます。
今回のベルディ香椎の全体総会の承認決議で反対の議決権数は52個です。「承認決議」においては六番館の組合員は全員賛成とみなされますので、六番館以外の棟の組合員だけで見れば、226個中174個が賛成議決権数ですので、約77%の方が賛成ということです。しかし23%の52個の方が反対しています。反対した理由は、いったい何でしょうか。先程の、自分の棟の建替え時の懸念でしょうか。それとも、一部専門家が指摘しているように自分の棟も同じような欠陥があるのではないかという思いで、この際、全棟を建て替えすべきだという意見でしょうか。
今後の建て替えに伴う解体費や工事費、六番館の住民の方の引っ越し費用、工事中の仮住まい先の家賃などは全てJV側(JR九州、若築建設、福岡商事3社の共同企業体)が負担するようで、工事は来年4月から着手され、解体工事に約9カ月、その後に実施する新築工事に約13カ月かかる見込みだそうです。