区分所有者の代理人制度
法制審議会において、区分所有者が国内におらず海外にいる場合の、区分所有者の代理人制度も検討されています。その内容は、
区分所有者が国内におらず海外にいる場合には、
1.まず区分所有者は、国内管理人(国内に住所若しくは居所又は本店若しくは主たる事務所を有する)を選任することができる。
2.そして、その国内管理人は、以下の権限が与えられる。
・ 保存行為
・ 専有部分の性質を変えない範囲内において、その利用又は改良を目的とする行為
・ 集会の招集の通知の受領
・ 議決権の行使
・ 共用部分の管理費用の支払
3.区分所有者と国内管理人との関係は、委任の関係である。
本日の日本経済新聞も、この代理人制度についての記事を掲載しておりますので、お読みいただければと思います。
記事:マンション管理に代理人制度 海外居住者に対応
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA140HR0U3A510C2000000/
なお、法制審議会での資料は以下のとおりです。
<法制審議会資料>
第3 区分所有者が国外にいる場合における国内管理人の仕組み
区分所有者が国外にいる場合における国内管理人に関し、次のような規律を設けることについて、引き続き検討する。
① 区分所有者は、国内に住所及び居所又は本店若しくは主たる事務所を有せず、又は有しないこととなる場合には、専有部分及び共用部分の管理に関する事務を行わせるため、国内に住所若しくは居所又は本店若しくは主たる事務所を有する者のうちから管理人(以下「国内管理人」という。)を選任することができる。
② 国内管理人は、次に掲げる行為をする権限を有する。
ア 保存行為
イ 専有部分の性質を変えない範囲内において、その利用又は改良を目的とする行為
ウ 集会の招集の通知の受領
エ 議決権の行使
オ 共用部分の管理費用の支払
③ 区分所有者と国内管理人との関係は、委任に関する規定に従う。
(注)本文①とは別に、区分所有者は、国内に住所及び居所又は本店若しくは主たる事務所を有せず、又は有しないこととなる場合には、専有部分及び共用部分の管理に関する事務を行わせるため、国内管理人を選任しなければならないとする案もある。
(補足説明)
1 第5回会議においては、区分所有者が国外にいる場合における国内管理人の仕組みについて検討され、本文のような規律を設けることについて概ね異論はなかった。
2 ただし、本文①とは異なり、国内管理人を選任することを義務付けるべきとする意見も多くあったことから、これを本文(注)で注記している。 もっとも、これについては、㋐義務違反の効果を適切に規律することができるか、㋑ 国外にいる区分所有者が、電子メールアドレス等の連絡先を管理者等に通知しておき、 連絡を受けて専有部分の立入りについての同意を速やかに与えたり、自ら管理費の支払事務を行ったりする態勢を整えていても、国内管理人の選任をしていないことによって義務違反とすることが許されるか、㋒国外にいる区分所有者は既に相当数に上るものと考えられるが、その全てに国内管理人の選任を義務付けたとして、その義務を実効的に果たさせることが実際に可能かなど、課題も多いと考えられる。