タワーマンションの節税防止のため算定ルールの見直し
タワーマンションでの過度な節税については従来から問題視されていましたが、国税局はマンションの相続税算定ルールを大幅に見直す方針を固め、2024年1月1日以降から新しい相続税算定ルールが適用される予定です。
相続税の一般的な算定に用いる路線価は公示地価8割を基準としているので、実際の取引動向は反映しにくく、実勢価格を下回りやすくなっています。それを利用して相続税額を低く抑える手法が「マンション節税」や「タワマン節税」と呼ばれるようになり、一般的に広く使われクローズアップされてきました。
タワーマンションは高価格の高層階ほど実勢価格と評価額の差が大きくなり、現状のままルールを続けると評価額の差を利用した節税がさらに広がりかねません。
現行のマンション評価額の算定ルールは、建物を地方自治体が算定する固定資産税評価額、土地は毎年公表される路線価から計算して、それぞれの額を合算することになっていますが、新しい算定ルールでは、建物の築年数や階数をもとに市場価格を算出して、評価額が大きく下回った場合には評価額を市場価格の6割に引き上げられます。戸建ての評価額が実勢価格の平均6割となっているため、マンションと戸建てをそろえる狙いがあるようです。
この新しい算定ルールが導入されれば、当然マンションの区分所有者に少なからず影響がでます。特に、評価額と実勢価格の乖離が大きいタワーマンションの高層階では、より影響が強く出る可能性があり、国税庁の調査範囲に限れば、20階以上の高層階は大半で税負担が増えると見られています。