信頼できる大阪のマンション管理士事務所

マンション管理士事務所JU

「置き配に関する使用細則を定める際のポイント」についての周知


 
 
 新築マンションでは、分譲時から宅配ボックスが設置されていることがほとんどですが、築20年以上のマンションでは設置されていないところがかなりあります。宅配ボックスが設置されていない管理組合様は、宅配ボックスの設置に向けて検討されるのですが、便利だと思われたはずの宅配ボックスの設置には住民間に温度差があり意見が割れることがあります。実際、私が支援をさせていただいていたマンションでは、総会で宅配ボックス設置議案が可決されませんでした。今から5年ほど前のことです。
 この時の総会では「特別決議」として採決しましたので、4分の3以上の賛成が得られませんでした。宅配ボックスを固定するするためには、エントランスの床に穴をあける必要があり、共用部分の変更が軽微ではないとの判断で「特別決議」で採決しました。「特別決議」で採決された管理組合様は多く、私が支援していたマンションと同じように、議案が可決されなかったマンションもあったと思います。
 その頃は、新型コロナウイルス禍で宅配需要が一段と高まり、そのため再配達の量も増加して社会問題に発展しましたので、国は何としても宅配ボックスの設置を増やす必要がありましたが、推奨していたにもかかわらずマンションでは思うように設置が増えませんでした。設置費用の問題もありますが、理由の一つとして「特別決議」であったことにもあると思われ、国は昨年のマンション標準管理規約改正の際に、共用部分の加工度が小さい場合の宅配ボックスの設置は「普通決議」で実施できる旨をコメントしました。
 今後は、大抵は「普通決議」で設置できるようになると思いますが、設置を検討されているマンションでは住民の高齢化が進んでおり、高齢者にとっては、不在の時に宅配ボックスに入れられると、宅配ボックスがある1階から自室まで重たい荷物を運ばなければならなくなり、不便と言うよりもとても辛いことになります。私が支援していたマンションで一番多かった意見が、まさしく高齢者のこのような意見でした。高齢者にとっては玄関前まで運んでもらう方が宅配ボックスよりも便利なのです。
 宅配ボックスが設置されていないマンションでは「置き配」が増えてくることになりますので、国は同じくコメントで、「留め置ける期間、禁止物(衛生的問題、臭気、発火リスクがあるなど)を具体的に指定するなど」のルールを作る必要があるとしました。しかし、置き配を認めてしまいますと、オートロックがないマンションでは当然ですが、オートロックマンションでも宅配業者を装った不審者がマンション内に入ってくるリスクがあり、防犯上の問題が浮上します。そのようなことで、置き配を禁止にするマンションもあります。
 国土交通省は、「2024年問題(トラックドライバーの時間外労働・人手不足等)」は喫緊の課題であり継続的に対応していく必要があるとして、先月3月27日に、(公財)マンション管理センター、(一社)マンション管理業協会、(一社)日本マンション管理士会連合会、(特非)全国マンション管理組合連合会あてに、「マンションにおける置き配の普及促進に向けた取組のポイントについて」の周知依頼がありました。
 以下がその周知内容ですので、是非参考にしていただきたいと思います。

〇 マンションで置き配に関する使用細則を定める際のポイントについて
 国土交通省では、トラブルなく置き配を実施しているマンションの使用細則等を分析し、別添1の「置き配に関する使用細則を定める際のポイント」(令和6年6月7日住宅局参事官(マンション・賃貸住宅担当)。以下「ポイント」 という。)をとりまとめて公表しておりますので、適宜ご参照ください。
 なお、本ポイントには、消防法(昭和23年法律第186号)に基づき、廊下、 階段、避難口等に避難上の支障となるような状態での宅配物の放置を禁止している旨記載しております。当該規定の適否については、個別の廊下、階段等の幅や形状等に応じて判断することとなりますが、例えば別添2のように、宅配 物などで避難の支障とならない少量又は小規模の私物を暫定的に置く場合は、 当該規定に抵触するものではないと一般的に考えられます。

  「置き配に関する使用細則を定める際のポイント」

ページトップ