マンション管理組合(大阪市南区島之内)が民泊営業差止め提訴
マンション管理規約に違反し「民泊」を営んだとして、大阪市中央区島之内のマンション管理組合が3日、計5部屋の区分所有者や仲介業者らを相手取り、民泊営業の差し止めと3267万円の損害賠償を求める訴訟を大阪地裁に起こしました。民泊仲介業者に対しての訴訟は全国でも珍しく、今後が注目されます。
民泊行為は、昨年11月から今年5月にかけて5部屋で延べ193日間にわたり行われており、原告のマンションは15階建てのファミリー向け分譲マンションでした。大阪ミナミの繁華街の中心に立地しており、外国人観光客の利便性からこの島之内地域では違法民泊が特に横行しているようです。訴状によりますと、違法民泊がされたとする5部屋は日本人や中国人が所有し、主にアジアからの観光客向けに民泊営業を行っていたのことです。うち2部屋は、大手仲介サイト米ウェブサイトの「Airbnb」(エアビーアンドビー)や、中国のサイト「自在客」で紹介されていたようで、約3年前からスーツケースを持った多数の外国人観光客が出入りするようになり、エレベーター内で喫煙する、上階からゴミを投げ捨てる、夜中に飲酒して大声を出すなどの迷惑行為が常態化し、また利用者にオートロックの解除方法が伝えられているため、マンションの防犯機能が大幅に低下しているとのことです。原告弁護団から提供された写真を見ますと、一斉に大勢の外国人観光客がマンションに入っていく様子や、エレベーターに乗り込む様子が覗え、ファミリーマンションとしては異常な光景です。
<写真は2枚とも原告弁護団提供写真>
管理組合は昨年2016年の10月に、民泊の禁止と1日5万円の違約金を明記した管理規約に改正しており、民泊営業の所有者に営業を中止するよう再三申しれを行ったが受け入れてもらえなかったことで、今回の提訴となりました。
原告弁護団によりますと、5戸のうち2戸は中国在住者が所有しているため、訴状を海外に送達しなければならず、また住所が違っていた場合には、現地調査などに膨大な費用が発生する可能性があるということです。またこのマンションでは確認できている5戸を含めて10戸程度が民泊を営業しているとみられ、所有者が中国に住んでいる部屋もあるということです。
大手民泊仲介サイトでは、大阪が人気観光地としてたびたび紹介されており、外国人観光客が年々増え続けています。私も、時々難波や道頓堀あたりに行くのですが、行くたびに外国人観光客が多くなっていることを実感します。大阪が観光地として人気になり外国人観光客が増え続けるのは非常にうれしいことですが、人気に比例して違法民泊が増えて地域住民からの苦情も増えていくことになり、今後、こうした訴訟が増えていく可能性があります。民泊を禁止しているマンションでは、現状お住まいになられている所有者(区分所有者)に民泊禁止を周知することは勿論ですが、民泊営業を前提にこれから所有者となろうとする者への対応策を管理組合自身で講じることが一層重要となるでしょう。