個人情報保護法が改正 マンション管理組合の対応 その3
個人情報保護法が改正されたことで、マンション管理組合は個人情報取扱事業者として見なされるようになると思われますが、改正前も改正後も、「個人情報」の取り扱いに十分注意しなければならいことは、何ら変わりはありません。
マンションを購入する動機として一番高いのが、「セキュリティの充実で安全であること」です。最近のマンションでは、ほとんどがオートロックや防犯カメラが設置されております。そしてタワーマンション等では、警備管理会社による24時間有人管理がなされており、コンシェルジュも配備しています。また古いマンションでは、資産価値が下がらないためにも、大規模修繕工事の際に、エントランスドアをオートロックに改修したりし、防犯カメラを設置したりして防犯体制を強化しています。
ところで、この防犯カメラに記録された画像の取り扱いには十分注意が必要なのですが、録画された画像の取り扱いについてルール化がされておらず、録画された画像を見たいとの請求があって初めて、細則等を制定する管理組合が少なくないようです。記録された画像で特定の個人が識別できれば、それは「個人情報」に該当すると思われますので、映像記録の開示方法や、保管方法についての「細則」は絶対に必要だと考えます。まだ制定されておられないようでしたら、早急に作成していただきたいと思います。
また「個人情報」の管理方法ですが、「個人情報」として重要なものは、施錠できる書庫等で厳重に保管し、持ち出しルールも厳格にしておき無暗に持ち出しできないようにしておきます。またパソコン等で管理する場合には、アクセスできる人を理事長等に限定し、パスワードもまめに変更していただきたいと思います。
個人情報保護委員会から示された「事業者が守るべきルール」の主なものに、次のようなものがあります。
*個人情報を取得するときは利用目的を特定・公表し、本人にも通知する。
*取得した個人情報は特定した目的以外のことに利用しない。
*すでに取得した個人情報を他の目的で利用したい場合には、本人の同意を得る。
*「要配慮個人情報」を取得するときも本人の同意が必要
特に入居時に入居届等で「個人情報」を取得することが多いと思いますが、その際には、何のための入居届なのかを明確に説明しておくことが大事です。使用目的としては、「居住者名簿作成のため」、「災害発生時安全確認のため」、「暴力団組員の入居阻止のため」、「要支援者安否確認のため」などがありますが、これ以外の目的で使用しないことを明言しておくことも必要です。
また今回の改正で導入された「要配慮個人情報」の取り扱いには十分注意する必要があります。要配慮個人情報として政令で定める事項としては、次のような情報が挙げられています。
*「病歴」に準ずるもの
診療情報・調剤情報・健康診断結果・障害(身体、知的、精神など)・ゲノム情報
*「犯罪の経歴」に準ずるもの
前科前歴情報・犯罪被害情報
これらの情報は極めてデリケートな情報ばかりですが、管理組合がプライバシーを侵害しない範囲内で取得しなければならない場合があると思います。その場合には、より一層慎重に取り扱い、さらに徹底した管理を行う必要があります。
個人情報保護法の目的は、個人情報の有用性に配慮して「個人情報の権利利益」を保護することにありますので、管理組合の組合活動や災害時の安否確認などに必要となる組合員名簿の作成を妨げるものでは決してありません。冒頭にも述べましたように、今回の改正でマンション管理組合は個人情報取扱事業者として見なされるかもしれませんが、改正前も改正後も、「個人情報」の取り扱いに十分注意することには何ら変わりはありませんので、情報管理に関する細則等が作成されていない管理組合様は、早急に作成していただき、細則等が既に作成されておられる管理組合様も、是非もう一度内容を見直していただきたいと思います。