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分譲マンションでの補助犬ユーザーの受け入れについて


 国土交通省住宅局参事官関係法人あてに、『「補助犬ユーザー受け入れガイドブック」の周知に関するご協力のお願い』が届き、これを受けてマンション管理センターから、このガイドブックの周知依頼がありましたので、概要をお知らせしたいと思います。
補助犬の同伴を拒否される施設等がまだまだ多く、分譲マンションにおいても拒否することがないよう、受け入れられる体制を整えてほしいとのことです。
「補助犬ユーザー受け入れガイドブック」には、「複合商業施設編」、「宿泊施設編」、「保健所対応編」などがあり、管理組合様に関連する「賃貸住宅・分譲マンション編」の内容を見ていきたいと思います。

◎補助犬ユーザーと補助犬
 補助犬ユーザーとは「身体障害者補助犬」(以下、補助犬と言います。)と生活をされる人を呼び、補助犬は、身体障害のある補助犬ユーザーの自立と社会参加に資するものとして、補助犬法に基づき訓練・認定された犬で、「盲導犬」、「介助犬」、「聴導犬」に分かれます。補助犬は、社会で他人に迷惑をおよぼさない、その他適切な行動をとることができるように訓練されています。また、補助犬ユーザーの方も、補助犬の衛生・健康・行動を適切に管理することができるよう訓練しています。補助犬の能力、補助犬ユーザーの能力、この2つの能力が認められれば、補助犬ユーザーは補助犬と同伴で社会参加することができるようになります。その場合、補助犬ユーザーには、身体障害者補助犬認定証と身体障害者補助犬健康管理手帳を携帯する義務があり、関係者から請求があった場合には提示しなければなりません。また、補助犬には、胴体の見やすい場所に補助犬であることを記した表示を付けなければなりません。

◎分譲マンションでの受け入れ
 分譲マンションでの受け入れが拒否される理由として多く挙げられることは、犬アレルギーがある居住者様や、犬の匂いに敏感な居住者様が居られることです。犬アレルギーの原因はおもにフケと唾液だそうです。そのため、補助犬は、施設の設備や物をむやみに舐めたり、咥えたりしないように訓練および管理されていますので、唾液が人につく心配はないようです。また、薬の投与によって、ノミやダニが体につかないように健康管理が徹底されているみたいです。そして、補助犬ユーザーは毎日ブラッシングを定期的に行っていますので、毛にホコリが溜まらないように、毛が舞うことがないように管理されています。このように、法律で認定された補助犬は様々な訓練がされており、補助犬ユーザーにしっかりと管理されていますので、一般のペットとは違います。もし、分譲マンションでの補助犬の使用を認めないとすれば、突然ある日から補助犬を必要となった区分所有者の方が補助犬を手にすることが出来ないことになってしまいます。身体障害者補助犬法では、公共施設、公共交通機関、店舗、宿泊施設などの不特定多数の人が利用する施設では、「補助犬を同伴する障害のある人を拒否してはならない」ことが義務付けれられており、分譲マンションにおいても受け入れを拒否しないように努めなければならないようにされています。

◎受け入れのための管理規約
 ペットの飼育が不可の管理組合がありますが、基本的には、補助犬の使用を受け入れなければなりません。また、ペットの飼育が可であっても、大きさを制限している管理組合においても、大型犬である補助犬を受け入れるようにしなければなりません。今回のガイドラインでは、補助犬の受け入れが記載された管理規約への改正が要望されています。
 マンション標準管理規約の第18条関係コメントでは、ペット飼育の禁止の場合とペットが飼育できる場合との規約例が次のように掲げられています。
(ペット飼育の禁止)
第〇条 区分所有者及び占有者は、専有部分、共用部分の如何を問わず、犬・猫等の動物を飼育してはならない。ただし、専ら専有部分内で、かつ、かご・水槽等内のみで飼育する小鳥・観賞用魚類(金魚・熱帯魚等)等を、使用細則に定める飼育方法により飼育する場合、及び身体障害者補助犬法に規定する身体障害者補助犬(盲導犬、介助犬及び聴導犬)を使用する場合は、この限りではない。
(ペットの飼育)
第〇条 ペット飼育を希望する区分所有者及び占有者は、使用細則及びペット飼育に関する細則を遵守しなければならない。ただし、他の区分所有者又は占有者からの苦情の申し出があり、改善勧告に従わない場合には、理事会は、飼育禁止を含む措置をとることができる。

 今回のガイドラインでは、ペットの飼育ができる場合の規約例に、「なお、身体障害者補助犬法に規定する身体障害者補助犬(盲導犬、介助犬及び聴導犬)を使用する場合は、ペット飼育に関する細則はあてはまらない。」が追記されています。
 このような規約に改正する際には、事前に説明会を開催し、補助犬訓練業者や行政の障害福祉課等の担当職員に方にも出席していただき、補助犬の安全性や、補助犬ユーザーによる衛生・健康・行動管理について説明がされれば、住民の皆様に理解していただけるのではないかと提言しています。
それでも、不安材料が全て消え去ることはないと思われますし、トラブルも発生すると思いますが、配慮が必要な方(犬アレルギーや犬に恐怖症のある)と補助犬ユーザーが、お互い思いやりをもって譲り合える工夫を、管理組合で考えていただければと思います。

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