外壁タイルの施工不良マンション
昨日、8カンテレNEWSで配信された記事によりますと、神戸三宮にある築12年の高層マンションの外壁タイルが施工不良として、住民の方が約2億4千万円の損害賠償を求めて大阪地裁に提訴するそうです。このマンションはアパホームが販売したマンションで、築2年後に耐震偽装が発覚して、2014年4月に耐震補強工事が完了しています。そしてその直後の2015年に最初の外壁タイルの落下があったようです。
第1回目の大規模修繕工事は築12年前後で実施されますが、実施前の建物劣化診断での外壁タイルの浮き等の劣化は大体3~5%程度と言われています。実際私が業務で携わった第1回目の大規模修繕工事を実施したマンションでは、計画段階でタイル張替えは全体の1%、エポキシ樹脂注入が全体の5%でしたが、結果的には、張替えたタイルが全体の0.5%で、エポキシ樹脂注入の方は全体の4.4%でした。それがこのマンションでは約15%で、特に紫外線の影響を受けやすい南側では何と約36%もあったそうで、これだけあれば、施工不良の可能性が大と言わざるを得ません。
原因調査を依頼した専門家によりますと、考えられる原因としては、1つは、「目荒らし」をしていないことのようです。下地コンクリートの上にモルタルを塗ったタイルを貼り付けるのですが、下地のコンクリートがツルツルの場合よりも凹凸がある方が、表面積が増える分モルタルと接する面積が増えて剥がれにくくなりますので、あえて表面を凹凸にするために細かな傷を付けます。この「目荒らし」を施していなかったことです。2つ目は、下地コンクリートの清掃処理がいい加減であったことです。清掃処理がいい加減ですと、モルタルとの接着が不十分となってしまい剥がれやすくなります。そして3つ目は、モルタルのドライアウトです。モルタルが正常に凝結硬化するためにはある程度の水分が必要ですが、水分が下地に急速に吸水されたり直射日光江を受けて短時間に蒸発してしまいますと、正常な凝結硬化ができなくなり、結果モルタルの強度が不足します。
その他に考えられることは、タイルを接着させる際の「たたき不足」か、施工する作業員の技術不足かもしれません。
今回のタイル落下で怪我をされた方がおられなかったようですので、本当に良かったです。
配信記事は、こちらをご覧ください。⇒ 8カンテレNEWS