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大規模修繕工事 業者選定ヒアリングについて

 昨日、首都圏1都3県に引き続き、大阪府、兵庫県、京都府、愛知県、岐阜県、福岡県、栃木県の7県に緊急事態宣言が発令されました。期間は、首都圏1都3県と同様に、来月の7日までです。感染が収まらないようでしたら、最悪のケース、春頃まで延長されるかもしれないと予想される専門家もおられます。
 前回の緊急事態宣言が発令されたのは4月でしたので、大規模修繕工事中の管理組合様では、感染防止や工事延長費用の協議等で四苦八苦されたところもあったと思います。宣言が解除された5月には、国土交通省から建設業者団体あてに「建設業における新型コロナウイルス感染予防対策ガイドライン」を踏まえて対策を徹底するよう通知がなされました。大規模修繕工事の際にも一部参考になると思いますので、こちらをご覧下さい。
 「建設業における新型コロナウイルス感染予防対策ガイドライン」
 
 この時期、今秋の大規模修繕工事に向けて検討されている管理組合様や、すでに施工業者の選定を終えて、2月末若しくは3月上旬からの工事着工を控えておられる管理組合様が居られると思います。特に、これから施工業者の選定でヒアリングを実施される管理組合様に、このようなヒアリング実施方法もあることをお伝えしたいと思います。
 初めて大規模修繕工事を実施する予定の管理組合様や、2回目以降の大規模修繕工事の実施でもヒアリングに初めて出席される方にお伝えしたいのですが、ヒアリングの際の各社の資料内容はほとんど同じです。会社概要以外については順番や項目名の違いこそあれ構成とそれぞれの内容はほぼ一緒です。たとえば次のようになっています。
1.会社概要
2.工事内容(工事計画)
3.現場管理体制(現場代理人紹介)
4.品質管理(検査体制等)
5.安全・防犯対策
6.緊急連絡体制
7.仮設計画及び工程表
8.広報活動(洗濯情報など)
9.住民へのサポート内容
10.工事に関する賠償保険
11.アフターメンテナンス
 大抵の場合、各社の持ち時間は50分前後で、そのうち30分を資料説明に使い、残りの20分程度を質疑応答に割いています。場合によっては、セクションごとに説明担当者が入れ代わって説明しますので、時間が長くなり残り10分ぐらいになるときもあります。例えば3社にヒアリングを行った時には、ほぼ同じ内容を各社から30分ずつ聞くことになりますので、計90分(1時間半)です。私は非常に無駄な時間を使っていると思っています。それよりも、質疑の時間や、工事の良し悪しを左右する現場代理人の人物観察に時間を費やしたほうが効果的です。そのためにも、私がお手伝いさせていただいた場合には、事前に、ヒアリング実施施工業者から資料を役員様等の人数分を送っていただき、それを役員様等に配布して目を通してもらったうえでヒアリングに臨んでいただき、質疑応答を中心に現場代理人の人物査定をしていただきます。ヒアリングに出席していただく人は現場代理人を含めて2名で構わないと思います。現場代理人の話し方や内容を聞けば、住民の皆様にしっかりと対応できるのかどうか、職人さんを上手に取りまとめられるかどうかを判断することができると思いますので、質疑応答は現場代理人を中心に行い、現場代理人には出来る限り発言してもらっています。

 もう1つ、今の時期だからこそ、選定基準にしていただきたいことがあります。それは、新型コロナウイルス感染予防対策です。先日、某マンションの施工業者選定ヒアリングに出席しました。選定までに時間的余裕がありませんでしたので、管理組合様の意向で従来の方法で各社に資料に沿って内容を説明してもらいました。配布された資料を見ますと、会社としての新型コロナウイルス感染対策への認識の差が歴然でした。
 この日のヒアリングは3社でしたが、1社は全く感染予防対策の記述がありません。マンション名や変更必要事項を修正して今までの資料を使い廻ししているだけの内容でした。もう1社には感染防止対策の記述はありましたが、他社の対策チラシを掲載しているだけで、内容も褒められたものではありませんでした。残りの1社は、「新型コロナウイルス感染予防対策」の項目を別途設定したうえで、感染予防対策だけではなく、万が一、工事現場で感染者等が確認された場合の対応策も記述されていました。対策の内容も重要ですが、この時期の工事において新型コロナウイルス感染対策が重要課題であるとの認識や会社の姿勢が重要であり、この認識の差や姿勢の違いは、それ以外の問題が発生した場合にも必ず出るものと思われます。是非、ヒアリングの際には、この感染予防対策も選定の際の重要な比較ポイントとしていただければと思います。

 ちなみに、今回のヒアリング資料で「工事現場で感染者等が確認された場合の対応」として記述されていた内容は、以下のとおりです。
①工事現場等で感染者又は濃厚接触者等を確認
②弊社より関係者様へ報告
*保健所等
*管理組合様、工事管理者様
③関係者様への報告後の対応
*当日の現場作業を中止
*接触した可能性がある作業員などへの自宅待機要請
*保健所等からの指示事項への対応
・現場事務所、休憩所等の消毒
・濃厚接触者の特定
・濃厚接触者の健康状態の経過観察等
*対応状況の管理組合様へのご報告
*工事(又は業務)の継続又は一時中止の判断
・濃厚接触者以外の者での作業継続の可否の検討
・作業継続/一時中止の協議
・一時中止の場合は④、中止しない場合は⑥
④一時中止期間中の対応
*現場内巡視
*連絡体制の確保
*濃厚接触者の健康状態の経過観察
⑤現場再開の協議
*濃厚接触者の安全確認(保健所)
*施工体制確保
*上記を踏まえた管理組合様との協議
⑥作業再開
*感染防止対策の徹底
・マスク着用、咳エチケットや手洗いの励行、アルコール消毒液の設置等
・「3つの密」の回避
・朝礼時、KY時の体温測定による健康管理
・発熱や咳が長引く等の作業員に対する自宅待機の要請

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