平成３０年住宅・土地統計調査の結果
令和最初のコラムは、「空き家」問題を取り上げたいと思います。令和の時代は、少子高齢化・人口減少が進み、この「空き家」問題がさらに深刻なものになると思いますので。
先月、平成３０年の住宅・土地統計調査の結果が発表されましたので、その中で、現状の「空き家」についての結果概要と「共同住宅」（分譲及び賃貸の全て）についての結果概要をお知らせしたいと思います。
この住宅・土地統計調査は，住宅及び住宅以外で人が居住している建物に関する実態と住環境，また現住居以外の住宅や土地の保有状況などを調査して，全国及び地域別にその現状と推移を明らかにすることで，住生活関連諸施策の基礎資料を得ることを目的としており、昭和２３年から５年ごとに実施しています。今回はその１５回目に当たります。
調査は、平成３０年１０月１日に実施され、調査世帯に調査書類を配布して，インターネットにより回答する方法，記入した調査票を調査員等に提出する方法又は郵送により提出する方法により行われました。
まず、総住宅数に占める「空き家」の割合（空き家率）は１３.６％で，前回からプラス０.１％で過去最高となっています。
「居住世帯のない住宅」のうちでは，「空き家」は８４６万戸と，前回（平成２５年）と比べて２６万戸（＋３.２％）増えており、この増加は昭和６３年から平成３０年まで一貫して続いています。３０年間の増加数は何と４５２万戸です。また，別荘などの「二次的住宅」を除いた「空き家数」及び「空き家率」は，それぞれ，８０８万戸，１２.９％となっています。
次に「空き家」の内訳を建て方別に見てみますと、一戸建が３１７万戸，長屋建が５０万戸，共同住宅は全体の５６.２％を占める４７５万戸です。
共同住宅の空き家数は平成２０年まで急増しており,昭和５３年から平成２０年までの３０年間で共同住宅の空き家は３３６万戸増加しています。平成２５年以降は増加幅が縮小してきており,平成２０年から平成３０年までの１０年間では，１３万戸の増加にとどまっているようです。
次に、都道府県別で「空き家率」を見てみますと，最も高いのは，山梨県の２１.３％で，次いで和歌山県が２０.３％，長野県が１９.５％，徳島県が１９.４％，高知県及び鹿児島県が１８.９％で続いています。反対に最も低いのは，埼玉県及び沖縄県の１０.２％で，次いで東京都が１０.６％， 神奈川県が１０.７％，愛知県が１１.２％です。ちなみに大阪は１５.２％（前回１４.８％）です。
また，空き家のうち，別荘などの「二次的住宅」を除いた「空き家率」が最も高いのは， 和歌山県の１８.８％で，次いで徳島県が１８.６％，鹿児島県が１８.http://mankan-ju.com/?p=2007&preview=true４％，高知県が１８.３％，愛媛県が１７.５％となっています。
一方、「住宅」だけを見てみますと。住戸６２４２戸のうち居住世帯のある住宅（以下単に「住宅」という。）は５３６６万戸です。この内訳を建て方別に見ますと、一戸建が２８７６万戸（５３.６％），長屋建が１４１万戸 （２.６％），共同住宅が２３３４万戸（４３.５％） となっており、前回と比べますと，一戸建てが１６万戸（＋０.６％），長屋建が１２万戸（＋９.２％），共同住宅が１２６万戸（＋５.７％） の増加となっています。
次に共同住宅の住宅数の推移を見てみますと、昭和６３年に１１４１万戸と１０００万戸を突破した後，その後も増加し続け，平成３０年までの３０年間で２倍以上増加しています。また、都道府県別に住宅に占める共同住宅の割合を見ますと、やはり東京都が７１.０％と最も高く，次に意外ですが沖縄県が５９.０％，そして神奈川県が５５.９％，大阪府が５５.２％，福岡県が５２.６％ と続いています。反対に、最も低いのは, 秋田県の１７.７％ で, 次いで富山県が２０.１％，山形県が２０.３％，福井県が２１.５％， 青森県が２１.６％と東北・北陸地域がやはり低いようです。
ほとんどが分譲だと思われますが、「１５階建以上」の共同住宅の住宅数を都道府県別に見ますと、東京都が２５万戸と最も多く，次いで大阪府が２０万戸，兵庫県が７万戸，神奈川県が６万戸，福岡県及び愛知県が５万戸で、この６都府県で全国の７割以上を占めています。また，平成１５年から３０年までの１５年間で, 「１５階建以上」の共同住宅の増加数は６０万戸と，約３倍に増加しており、この増加数も都道府県別に見てみますと、東京都が１７万戸と最も多く，次いで大阪府が１２万戸で，東京と大阪で全国の増加数の約５割を占めています。人口減に拍車がかかり、「空き家」の半数以上が「共同住宅」にもかかわらず、いつまで東京と大阪でタワーマンションなどの高層マンションを建て続けるのでしょうか。益々、高経年マンションでの「空き家率」を高くしてしまうことになると思うのですが。
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総務省統計局の平成３０年住宅・土地統計調査結果