民泊対応に関するアンケート調査結果概要
公益財団法人マンション管理センターから、管理組合に民泊対応状況を調査した結果が発表されました。住宅宿泊事業法施行時点の管理組合の民泊対応状況を把握して、管理組合へ情報を提供すること、今後のセンター事業の実施の参考にすることが、今回の調査の目的です。マンション管理センターに登録している管理組合を対象として、住宅宿泊事業法が施行された6月15日から7月6日までに調査が実施され、有効な回答管理組合数は登録管理組合約8,600組合中の105組合でした。有効回答率はわずか1.2%です。この回答率の調査結果で、正確な管理組合の民泊対応状況が把握できるのかどうかは少し疑問を感じますが、一応調査結果内容をお知らせしたいと思います。
調査結果の項目内容は、次の5つです。
1.住宅宿泊事業法による民泊の取り扱い
2.規定方法
3.全面禁止とした理由
4.違法民泊の状況
5.違法民泊への対応状況
6.分譲マンションにおける民泊への対応についての主な自由意見
105組合のうち101組合が民泊を全面的に禁止しています。そして、その禁止の規定方法については、77組合が「管理規約」で規定しており、「細則」で規定した組合は2組合だけです。この数字は、私としては非常に少なく大変驚いています。何故ならば、私は、現在4つの管理組合の管理規約の改正案のお手伝いをしていますが、そのうちの3組合で「細則」で規定する規約改正案で進めているからです。今後、「民泊」に対する住民の皆様の認識の変化に、何時でも簡単に対応(普通決議)できるようにしておく方が良いと思っていますので、私は、「細則」での規定を推奨しています。
次に、全面禁止した理由ですが、これは予想通りでした。「騒音・ゴミ廃棄など迷惑行為の懸念」が67組合、「防犯・安全面の懸念」が57組合で、この2つが群を抜いて多いです。
実際に民泊が行われているかどうかでは、92組合が「行われていない」と回答しており、その他では、「行われているようだが確証はない」が6組合、「行われており確証がある」が2組合、「わからない」が5組合です。
自由な意見では、「一律に禁止すべきではないと思うが、不適切行為が行われた時の管理組合の負担が増大するので禁止するしかない」という意見がありますが、「家主同居型」の民泊では家主(区分所有者)が適時適切にゲストに注意を払っておけば、管理組合の負担が多くなるようなことはないように思われます。
「民泊とホームスティの区別が部外者からわからないので、取り扱いが難しい」という意見もあります。区別がわからないのは、この場合の民泊が「家主同居型」の民泊だからです。宿泊料を受けていれば「民泊」で、受けていなければ「ホームスティ」です。しかし、この2つとも、先程の全面禁止した理由の懸念があるでしょうか。家主が同居していれば、騒音やゴミの廃棄で迷惑をかける行為は殆ど行われないと思われますし、鍵の受け渡しも家主が直接行いますので、防犯面や安全面で不安を与えることもほとんどないでしょう。ですから、「民泊」と「ホームスティ」の区別がしにくいのです。
また「ネガティブ情報だけでなく、民泊新法施行後の情報が欲しい」という意見もありました。私もその通りだと思います。住宅宿泊事業法が施行される1年前ぐらいから、ネガティブ情報だけが溢れんばかりの勢いで流れましたので、特にマンション管理組合は世評に流された感があるようにも思えます。その意味でも、とりあえずは「細則」で規定しておくのが良いと管理組合様には推奨しています。