熊本市内のマンションでタイルが落下
17日正午過ぎに、熊本のマンションで、外壁タイルの落下事故がありました。現場は熊本市中央区水前寺公園の県道熊本高森線(通称電車通り)沿いのマンションで、路面電車の熊本市電「水前寺公園」駅から300メートルほど北西に離れた場所にあります。築5年(2014年築)、鉄筋コンクリート造11階建て30戸のマンションです。たぶん賃貸マンションだと思われます。
剥がれ落ちたのはマンション最上階部分のもので、タイルが張られた外壁が縦約80センチ、横約30センチにわたり落下しました。熊本東署によりますと、屋上近くの南東側から、1枚が小さいタイル二十数枚を組み合わせて作られ外壁パネル2枚(いずれも縦40センチ、横30センチ)が落下し、もう一つのパネルも付近に落下しているようですが、見つかっておらず、別のパネルも剝がれる恐れがあるため、警察は交通規制を行い、マンション側も剥がれ落ちた周辺のパネルも剥ぎ取る処置をしたそうです。
落ちたタイルは、助手席側の窓とサイドミラーに当たり、窓ガラスを破って車内に入り運転手の女性は左腕を打撲し、後部座席の女性はガラス片で右足を切ってしまったとのことです。
このマンションの管理会社によりますと、2017年7月に外壁のタイルを調査したところ、一部タイルが浮いており落下の危険があったため、その部分の処置を施していましたが、今回外壁が落ちた部分はその時処置した部分ではなかったようです。
今回の外壁パネルは、おそらくALC(Autoclaved Lightweight aerated Concrete)パネルかもしれません。ALCパネルは汚れがつきにくく、耐久性があるといわれていますのでビルやマンションに多く採用されており、さらに使われているタイルは薄くて軽く耐久性や防水性もあります。しかし、タイルの浮きや、タイルの剥離、タイルの落下などに注意する必要があります。タイルの落下は、ALC構造のビルやマンションでよく起こる現象だそうです。
ALCの内部には小さな気泡があり、自ら呼吸をして湿度を調節する機能があります。そのため、「パネルの裏面は、塗装をしてはいけない!」というルールがあり、本来ならば、表面の塗装も、調湿性のある塗料を使うべきなのですが、雨水を内部に入れないように防水塗装しているのが現状で、これが問題を引き起こしている一因のようです。
防水塗膜をこまめにメンテナンスしていないと、外部から侵入した雨水が塗膜により逃げ場を失い、内部に水が溜まる。そして水にさらされたALC板は内部から劣化が進み、手で触るだけでボロッと砕け落ちるほどになり、そしてタイルが落下することになるようです。防水塗膜をこまめにメンテナンスしていればALC板も長持ちしますが、施工業者は、いかに安く作るかを考え、メンテナンスのことなど考えずに放置されたままというのが現状のようです。
現在熊本東署では、業務上過失傷害容疑も視野に詳しい状況を調べていますが、今回の熊本のタイル落下事件の原因は、そのあたりにあるのかもしれません。