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第2回マンション管理の新制度の施行に関する検討会

 第2回目の「マンション管理の新制度の施行に関する検討会」(座長:斎藤広子横浜市立大学教授)が8月18日(火)に開催されました。今回は、管理計画認定制度の申請手順のイメージと認定基準の素案が提示され、この素案をもとに議論がなされています。
 この認定基準の素案は、次の3つの分野を柱として、各分野に複数に項目が設定されています。

(1)修繕その他の管理の方法
①長期修繕計画が集会にて決議されていること
②長期修繕計画の作成日または見直し日が5年以内であること
③長期修繕計画の計画期間が25年以上(新築後5年以内の場合は30年以上)、かつ残存期間内に2回以上の大規模修繕工事を含むものであること
④適切な推定修繕工事項目、当該工事の予定時期及び予定費用が長期修繕計画に明記されていること

(2)修繕その他の管理に係る資金計画
①計画25年以上(新築後5年以内の場合は30年以上)、かつ残存期間内に2回以上の大規模修繕工事を含む長期修繕計画に基づき修繕積立金の額が設定されていること
②長期修繕計画の計画期間全体での修繕積立金の総額が著しく低額でないこと
③将来の修繕積立金の変更(増減)の予定時期及び変更後の金額(住戸毎の修繕積立金額)についてあらかじめ集会で決議されていること ※均等積立方式でない場合
④一時金の徴収の予定時期及び金額についてあらかじめ集会で決議されていること ※一時金の徴収が予定されている場合
⑤計画期間内に借入金を予定している場合、長期修繕計画が借入金の返済が完了するまでの計画期間となっていること
⑥管理費と修繕積立金が区分経理されていること
⑦修繕積立金会計から他の会計(管理費会計等)への充当がされていないこと
⑧直前の事業年度の終了の日時点において、修繕積立金の3ヶ月以上の滞納住戸数及び滞納額が全体の1割以内であること

(3)管理組合の運営状況
①管理者等が選任されていること
②監事が選任されていること
③集会が年1回以上開催されていること
④区分所有者及び居住者の名簿を備えており、各名簿について年1回以上、内容の確認が行われていること
⑤管理規約で「専有部分への立入り」、「修繕等の履歴情報の管理等」、「管理情報の書面提供」について、標準管理規約に照らして適切な内容が規定されていること

 この素案に対して、次のような意見が各委員から出されています。
(1)について
・「長期修繕計画の作成日または見直し日が5年以内であること」としているが、理事会・総会の開催時期等との兼ね合い等から「概ね5年」や「5年前後」などとしてはどうか。
・認定基準に耐震化推進に関する項目を含めることにより、旧耐震マンションの意識を高めることが必要ではないか。
(2)について
・修繕積立金単体でみるのか、駐車場使用料等の収入も含めてみるのか、整理する必要がある。
・将来の増額や一時金の徴収を予め決議することはほとんどなく、資金が不足する場合は、一時金の徴収よりも借入を考えるのが一般的である。
・一時金の徴収は難しく例外的な措置であるため、認定の基準に入れなくてもよいのではないか。
・段階増額積立方式と一時金方式は認定の対象外とすることも考えられるのではないか。
・修繕積立金会計から他の会計への充当がされていないこととしているが、潤沢な修繕積立金があり組合員への余剰金の還元を決議する場合もあり得るため、誤解を招かない基準の示し方が必要である。
・3ヶ月以上の滞納が出た場合に、管理組合として適切に対処できるかという点を確認しておくことが望ましいのではないか。
・滞納住戸数が全体の1割以内という基準は、少戸数のマンションにとっては厳しいのではないか。
(3)について
・理事会の開催状況に関して、例えば2ヶ月に1回、8割以上の出席、監事が8~9割は出席しているといった基準を追加してはどうか。ただし、理事会を置かないいわゆる第三者管理方式への配慮も必要である。
・集会が年1回開催されていることについて、昨今のコロナ禍で開催を見送る場合も想定されるため、「特段の問題がない限り」と追記してはどうか。
・年1回以上の名簿の確認は、マンション管理に対する意識啓発の観点からも重要。実際に確認を行っているマンションは少ないのではないか。建替え等を検討する際に、住民票・登記簿・実際に住んでいる住所が整合していないことが多い。
・滞納対策の取組についても管理規約上の規定を確認してはどうか。

 認定申請の際には、長期修繕計画、修繕積立金の残高証明書、総会・理事会議事録、管理規約等の書類を添付することが求められるようですが、この素案の認定基準は、全体の3割から4割程度が認定される水準を想定しているようで、厳格すぎる基準や多量の申請書類で震災意欲を損なわないよう、また申請者及び認定自治体とも負担が大きくならないように配慮し、実効性のある制度にしたいとのことです。

 次回の検討会は、9月15日(火)に開催される予定です。

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