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管理組合がグループホームとしての利用禁止を求め訴訟

 分譲マンションの一室をグループホームとして使用しているということで、大阪市内の管理組合が大阪地裁に訴訟を起こしました。マンションは築30年で、15年ほど前からグループホームを運営する社会福祉法人が2部屋を借りて、現在知的障害のある6人の女性の方が暮らされているとのことです。日中は作業所で仕事をされ、夜はテレビを見たり音楽を聴いたりして、ごく普通の生活をされています。ただし、食事や掃除、入浴などに関しては介助が必要で法人の職員がマンションに出入りしてサポートしているようです。管理組合は2年前に、内容は不明ですが消防署から指摘を受けたことで、グループホームの実態を始めて知り、管理規約に違反しているとして退去を求めましたが、法人には受け入れられませんでした。おそらく管理規約は「区分所有者は、その専有部分を専ら住宅として使用するものとし、他の用途に供してはならない。」のみの規定であったため、グループホームとしての利用を禁止する旨を明記した管理規約に改正し、再度利用停止を求めて民事調停を申し立てましたが失敗しています。そして今回の訴訟です。
 新聞等の記事を読んだだけですので詳細は分かりませんが、管理組合が部屋の利用禁止や違約金(約85万円)を求め訴訟した理由は何でしょうか。グループホームとして生活をされている方々が、マンションの住民の方にご迷惑をお掛けしているのでしょうか。法人の職員の出入りが頻繁であるため防犯面に不安が生じることでしょうか。身体が不自由なご両親の介助のために、デーサービス等の人たちがマンションを訪れる風景は、今ではよく見られることです。グループホームが故に、消防署からの指摘事項を是正することが難しいこととは何でしょうか。
私の母校である大阪府立大学の三田優子准教授の話によりますと、障害をお持ちの方が地域で暮らしたいと思う場合、グループホームは重要な選択肢の一つで、今回のように賃貸住宅を利用できなくなると、今後の影響は大きく、グループホームが事業だとしてマンションから退去を求めることは障害者差別解消法に抵触する恐れもあるとのことです。
 分譲マンションにおける民泊の是非は今後も検討を要しますが、今回のグループホームとしての利用の是非も検討する必要がありそうです。

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