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緊急事態宣言による大規模修繕工事の一時中止について

 国土交通省は、緊急事態宣言が発出された直後の4月8日に、主な民間発注者団体宛に、「新型コロナウイルス感染症に係る緊急事態宣言を踏まえた工事及び業務に対応について」の事務連絡を送付し、各都道府県入札契約担当部局長宛に送付した資料内容を踏まえて適切に対応するように求めました。
 その資料には、「1.施工中の工事等における新型コロナウイルス感染症に係る一時中止措置等の対応について」と「2.施工中の工事等における新型コロナウイルス感染症の拡大防止措置等について」記載されています。
 「1.施工中の工事等における新型コロナウイルス感染症に係る一時中止措置等の対応について」では、受注者からの申し出があった場合には、受発注者間で協議を行った上で、工事の見直しやこれに伴い必要となる請負代金額の変更、一時中止の対応策、適切な措置を行うようにと、また「2.施工中の工事等における新型コロナウイルス感染症の拡大防止措置等について」では、以下のような内容が要望されています。

(1)施工中の工事の現場等においては、現場状況などを勘案しつつ、アルコール消毒液の設置や不特定の者が触れる箇所の定期的な消毒、手洗い・うがいなど、感染予防の対応を徹底するとともに、担当職員のみならず、受注者を通じてすべての作業従業者等の健康管理に留意すること
(2)感染者及び濃厚接触者があることが判明した場合はもとより、速やかに受注者から発注者に報告するなど、所要の連絡体制の構築を図っていただくとともに、都道府県等の保健所等の指示に従い、感染者本人や濃厚接触者の自宅待機をはじめ、適切な措置を講じること
(3)建設工事の現場では、多人数での作業や打合せをはじめ、三つの密(①密閉空間、②密集場所、③密接場面)が生じかねない場面も想定されることから、元請事業者をはじめ、下請事業者や技能者等、施工に携わるそれぞれの立場において、極力、三つの密を回避する対策やその影響を最大限軽減するための行動がなされることが重要で、特に、建設現場における朝礼・点呼や現場事務所等における各種の打合せ、更衣室等における着替えや詰め所等での食事・休憩など、現場で多人数が集まる場面や密室・密閉空間における作業などにおいては、他の作業員と一定の距離を保つことや作業場所の換気の励行など、三つの密の回避や影響緩和のための対策に万全を期すこと

 これらの内容を受けて、いち早く「工事中止」の方針を打ち出した西松建設に追従するかたちで、清水建設や戸田建設も工事中断の方針を発表しています。当初、工事を継続するとしていた大林組も、建設現場などで社員2人の感染者が出たため、発注者との合意ができ次第に中断することになったようです。
 これ等の動きは、建設会社だけではなく、マンションの大規模修繕工事の施工業者でも見られ、各社のホームページで工事の「一時中止」についてのお知らせが掲載されています。工事の一時中止・延期については、管理組合様と協議の上行うこと、そして工事の再開については、管轄する地方自治体など行政のその後の要請に従って、管理組合様と相談して行うことが、ほとんどの施工業者で共通しています。
 現在大規模修繕工事を実施中の管理組合様にとっては、非常に悩ましい問題だと思います。また、今秋に大規模修繕工事を予定している管理組合様も、本当に秋に実施できるかどうか心配されていることと思います。工事を一時中止するかどうかは、施工の進捗状況等によって判断が変わってきますし、延期することでの増加費用の負担について協議が整うかどうかも大きな判断基準になるでしょう。工事を一時中止するにしても、継続するにしても、居住者の皆様、そして大規模修繕工事に携わる作業員の皆様の安全・健康を第一に考えて判断していただければと思います。
 大阪に本社を置くビケンテック株式会社のホームページには、一番分かりやすく丁寧な対応策が掲載されていましたので、一部紹介させていただきます。ご参考にしてください。

【現在稼働中 大規模修繕工事現場の対応の基本】
 緊急事態宣言下においても、現在当社が表明している「新型コロナウイルス感染症への対策について(2020年3月10日発表)」以上の対応を実施しながら、工事は進めて行く事を基本とします。尚、以下休場対応についての概略です。
・お客様(管理組合様)より一時休場の打診があった場合はお客様(管理組合様)に従い、工事休場とします。
・設計監理者様より一時休場の打診があった場合はお客様(管理組合様)との協議の上、決定致します。
・緊急事態宣言下現場休場になった場合の追加金(足場リース代や諸経費など)の請求については今後、お客様との協議事項として、今後の話し合いとします。
・緊急事態宣言下現場休場となった場合の弊社としての防犯対策は予め決定し、お客様(管理組合様)及び設計監理者様へ対策案決定次第、周知させて頂きます。
・緊急事態宣言下現場休場になった場合、お客様(管理組合様)や設計監理者様との工事再開の方法なども予め協議させて頂きます。

【「緊急事態宣言」下の現場での「新型コロナウイルス感染症」対策について(追加版)】
 現在弊社が表明している「新型コロナウイルス感染症への対策について(2020年3月10日発表)」に加えて、以下を実施しながら、工事を進めていきます。
・当社現場代理人及び現場作業員は毎朝自宅で体温を測定し記録します。毎日の入場者名簿を作成し、体温を記載します。尚、37.5度以上あった場合は現場入場させない事を原則とします。
・朝礼・昼礼・安全協議会などで現場事務所や集会室などで実施する場合は換気を良くし、必ず、マスクの着用をします。尚、出来る限り外部で実施するなど、各現場で工夫します。
・現場代理人や作業員が触れる箇所(事務所扉・トイレ扉・倉庫扉・足場入口扉・館内入退場扉・EV内など)は最低退場時までにはアルコールなどで拭き取り清掃を励行します。
・現場代理人や作業員は特に私人の場合においても「3つの密」に当たる場所へ行かない。又、現在言われている夜間の飲食や会合は極力参加しません。

  ビケンテック株式会社ホームページ

 「新型コロナウイルス感染症に係る緊急事態宣言を踏まえた工事及び業務に対応について」 

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