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阪神・淡路大震災から、今日で四半世紀

 阪神・淡路大震災から、今日で四半世紀経ちました。平成7年1月17日午前5時46分、淡路島北部の北緯34度36分、東経135度02分、深さ16㎞を震源とするマグニチュード7.2の地震が発生し、この地震により、神戸と洲本で震度6を、豊岡、彦根、京都で震度5を、大阪、姫路、和歌山などで震度4を観測したほか、東北から九州にかけて広い範囲でも有感となりました。
 阪神・淡路大震災は、我が国において、社会的・経済的な諸機能が高度に集積する都市を直撃した初めての直下型地震で、死者6,400余名、負傷者43,700余名に上る甚大な人的被害をもたらしました。 さらに、各種の応急・復旧活動を迅速かつ的確に展開しなければないはずの行政機関等の中枢機能さえも被災し、交通路、港湾施設等のインフラ施設、水道、通信、電気等ライフライン施設など各種機能も著しく損壊した災害でした。
 住宅についても、西宮市と神戸市6区での分譲マンションの全壊比率は6%と、戸建てや共同低層(多くは木造建)と比較して相対的に少なかったのですが、分譲マンションが数十棟崩壊して、建替えや大規模な修繕を必要とする未曾有の事態となり、区分所有という複雑な所有形態である分譲マンションでの復旧の困難性が浮かび上がりました。このことが切っ掛けとなり、「被災区分所有建物の再建等に関する特別措置法」(被災マンション法)が地震発生約2か月後の平成7年3月24日に施行されました。大規模災害によりマンション等の建物が全壊し、区分所有建物としての権利が消滅した場合、残されているのは共有敷地権のみとなります。建物を再建するためには、敷地共有者全員の同意がなければならないとする民法の規定により、なかなか再建が進まない事態に陥ります。そのため、敷地共有者の5分の4以上の多数議決により、再建を行えるようにしたのがこの被災マンション法です。そして、被災した場合だけではなくマンションの建て替えがスムーズに行えるように、被災マンション法施行の7年後には、「マンション建替え等の円滑化に関する法律」(マンション建替法)が制定されました。
 震災から25年の神戸は、著しい復興をなしとげ、現在では中心地の三宮駅界隈は25年前とはかなり違った街模様となりました。首都圏や大阪と同じようにタワーマンションが立ち並ぶようにもなりました。しかし、神戸市は、昨年、三ノ宮駅周辺でのタワーマンションの建設ができない条例を出しました。その理由は、神戸市中心部の人口が年々増加し、周辺から中心部への人口集約化が顕著となり、このままでは、郊外ニュータウンの高齢化と過疎化がさらに進んでしまうことから、中心部でのタワーマンションの建設を抑制して、子育て世代のニュータウンへの移住を促すためと、都市の中心部に大量のタワーマンションが建設されると、生活インフラの整備が間に合わないといった問題が発生するからです。
 また、神戸市はマンション管理支援制度検討会で、神戸市内の分譲マンションの管理状況の届け出制を導入し管理実態を一般公開する制度案を示しました。この情報開示の制度については、すでに東京都が管理組合様の届け出を受けて「優良」と評価する制度を運用しています。ただし、マンション名の公表のとどまっているため、物件の流通価格に反映できないとの指摘があります。神戸の制度案は、総会や理事会の議事録、長期修繕計画、修繕積立金の徴収、自主防災組織の有無などの必須回答項目を設け、管理組合様の同意のもとにマンション名とともにこれらの項目も公開するというもので、これなら市場流通価格に反映できると考えているようです。
 もう一つ同時並行で考案されているものに「認証制度」というものがあります。これは、届け出の内容をもとに優良物件かどうかを判断するもので、認証にあたっては、届け出書類の確認だけでなく、管理組合様への直接面談もあります。しかし、この「認証制度」の創設は、管理組合様から一気に書類が提出された場合の市の処理能力の問題などで、今月15日に白紙となりました。今後は、「届け出」と市のホームページで公開する「情報開示」の2本柱で検討を進めていくとのことです。
 このような分譲マンションの管理状況の「情報管理」を中古分譲マンションの流通価格に反映させる動きは、他にもあります。
たとえば、一般社団法人マンション管理業協会の呼びかけで発足した「マンション管理適正評価研究会」は、昨年3回の会合を開き、中古マンションの購入検討者が物件選びの判断材料にできるように、情報開示・等級評価し、管理の適切性が市場で評価される仕組みづくりを検討しています。 同研究会の想定している開示情報は、総戸数や管理会社名といった「基礎的情報」、管理組合体制や会計収支などの「管理状況に応じてランク付けする情報」、保険付保や専用部の制限などの「人によって評価が変わる情報」の3つで、マンション管理業協会の社員である管理会社を通じて、管理組合様にそれらの情報の登録を促していく。
 また、一般社団法人日本マンション管理士会連合会は株式会社LIFULLと業務提携して、自身が行っている事業である「マンション管理適正化診断サービス」の結果を、今春から不動産・住宅情報サイト「LIFULL HOME’S」に掲載される中古マンション物件情報に採用表示することを、昨年11月末に発表しています。情報公開実施への課題は山積みされていますが、この動きはさらに加速するものと思われます。これらの制度が始まりましたら、管理組合様は積極的に登録していただけますようお願い致します。マンションの恥をさらけ出すようで、登録に消極的になる管理組合様もおられると思いますが、登録内容によって支援・助言が必要と判断されれば、マンション管理士や建築士、弁護士などの専門家を派遣してサポートする自治体もありますので、是非お願いします。
 今年は、阪神・淡路大震災から25年、東日本大震災から9年となりますが、ここ数年は、地震だけではなく大型台風による未曾有の被害が日本各地で発生しています。分譲マンションにおいても、神奈川県武蔵小杉のタワーマンションでは、電力供給がストップしたために、エレベーターが使用できない、水道が使えない等の被害が発生しました。管理組合様としては、災害マニュアル等を作成して災害への防御策を講じておかなければならないことは勿論ですが、できれば、ここ数年のような大災害が今年は絶対に起きないことを切に願います。

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