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マンション管理ガイドラインに風水害対策を追加

 先月の11月29日に行われました東京都小池知事の会見で、首都圏での一連の台風による風水害の検証結果及び今後の対策について発表がありました。
 この日の会見はそれ以外に、「ICT人材の採用等について」、「事業提案制度に係る投票の実施について」、「東京グリーンボンドについて」、「上野動物園におけるQRコード決済の実証実験の開始について」がありましたが、「大規模風水害対策の検証結果について」は冒頭で述べられており、その検証は以下の7つの視点で行われています。
1. 初動体制の整備
2. 防災広報
3. 電源確保対策
4. 物資調達
5. 避難対策
6. 施設の整備・適切な維持管理
7. その他の風水害対策
 最後の7つ目の「その他の風水害対策」のなかで、マンションの浸水対策についても述べられており、東京都のマンション管理ガイドラインに風水害対策に関する取組を追加するとともに、管理組合向けのセミナー等で浸水対策ガイドラインを周知していくとのことです。
 川崎市武蔵小杉のタワーマンションで地下の電源設備が浸水により故障したことで、エレベーター等の設備等の電源が絶たれて生活困難に陥ってしまったことから、タワーマンションだけでなく通常のマンションでも、電源設備の浸水対策を緊急に行っておく必要があります。今後の新築マンションの電気室は、地下や1階ではなく2階以上に設置する動きもありますが、既存のマンションにおいては電気室への浸水対策、たとえば止水版の高さを見直すことや防水扉の設置などの検討を行う必要があるでしょう。
 会見後の記者との質疑応答でもありましたが、これまでの防災対策は「地震対策」を中心として進められてきました。各自治体やマンション管理会社、またマンション関連団体が作成するマンション防災マニュアルの内容も「地震対策」が中心で、水害に関する対策マニュアルはほとんどありません。すでに防災マニュアルがある管理組合様は、水害に関する対策を検討してマニュアルに追加していただきたいと思いますし、これから防災マニュアルを作成する予定の管理組合様は、水害に関する対策も是非組み入れていただきたいと思います。

【小池知事の会見内容全文:大規模風水害対策の検証結果について】東京都HPより
 それでは、大規模風水害の検証結果がまとまりましたので、お知らせいたします。
9月には台風15号が、10月には台風19号、そして21号と相次ぎました。都内でも風水害による被害が発生したところであります。そこで、副知事をトップとした、大規模風水害検証会議を、今月6日に立ち上げ、区市町村からのヒアリング、そして都民向けのインターネットアンケートなども踏まえ、初動体制の整備や防災広報など、7つの視点から検証を行ったところであります。
 その結果、合計35の対策について取り組むことといたしました。内訳ですが、補正予算、そして来年度の予算編成で対応中のものが11あります。そのほか、今後、新たに取り組むべきものが24で、合計35あります。
 今申し上げました7つの視点に基づく検証結果についてでありますが、まず初動体制、この整備については、発災時の的確な対応のためには被害状況をまず素早く把握すること、そして情報を共有することが大事であるということが1点。今回の台風におきましては、多摩、島しょの市町村に都庁から都の職員、連絡要員、リエゾンと呼んでおりますが、これをあらかじめ派遣いたしました。この件については、各市町村の皆様方から非常に効果があったということで、今後は全区市町村に2名程度派遣する体制を構築してまいります。
 また、計画運休という初めての事態ではございましたけれども、この対応については、台風が近づいてくる前から応急対策本部を設置しまして、計画運休に関する情報や、出勤抑制の呼びかけを実施したところでございます。今後、実効性をさらに高めるために、公労使による実務者会議を立ち上げます。そこで計画運休時の出勤のあり方について、各社、各組織で新たなルール化をしていただき、そのことを目指して議論を行っていただくという方向でございます。
 それから、防災の広報でありますけれども、様々なツールを用いた情報発信の強化ということが極めて重要であると、今回も改めて痛感したところでございます。今回の災害対応でございますけれども、まずホームページにアクセスが殺到し、区市町村によっては閲覧不能になる事態も発生したということで、区市町村のホームページの状況を調査しアクセスが集中したときの改善ガイドラインを作成してまいります。
 また、情報発信につきましては、これまでのツイッターに加えまして、災害対策本部会議を、まずはユーチューブや東京動画で発信するなど、新たな手段での広報も実施いたしました。今後は、チャットボットも導入しまして、都民の皆様方からの問い合わせには迅速に対応することや、民間防災アプリと新たに連携するなど、さらなる強化を推進してまいります。
次に、電源の確保対策です。これは重要です。被災者の情報収集、それから行政からの災害情報の伝達に、もはや不可欠の存在でありますスマートフォンや、タブレット端末などの充電環境を確保するということで、都立の一時滞在施設などに、帰宅困難者の皆様がスマートフォンなどを充電するこことができる環境を整備していくということであります。また、大規模、長期間の停電発生時におきましても、例えば病院の機能を維持していくために移動電源車を活用しました電源確保が可能となるような体制を整備することなどを検討してまいります。
 それから、3番目の物資調達につきましては、災害時は在庫不足で迅速な物資調達が困難となるケースがあり得るということです。今回、特に風の強かった台風15号暴風雨の後に、屋根が飛ばされたなどで、雨漏りがするということからブルーシートの需要が大変高まりました。そして、これを備蓄の品目として新たに加えまして、都が一定数量備蓄をするということといたします。これまでは、連携する相手方との置き場所の問題などもあり、連携する企業などと、いざという時にそこからすぐ調達できるような手はずでやっていたということであります。
 それから、台風19号の時ですけれども、このときは道路の崩落で、例えば奥多摩のほうで孤立地域が発生いたしまして、ドローンを活用した輸送を行ったことを皆様にも取材をしていただきました。今後は、物資の輸送力の向上に向けて、西多摩エリアで大型のドローンを活用した物資輸送の実証実験を実施していくということであります。
 それから、避難対策ですけれども、今回の台風で東部の低地帯で大規模水害は発生いたしませんでしたが、広域避難のあり方については様々な議論がなされたところであります。加えて、計画運休ということも加わって、これまでとは様相が変わってくるわけです。今後、災害対策の検証のために、江東5区など関係区市と広域避難に関する課題についての検討を進めまして、国と共同で進めております広域避難に関する検討会へとフィードバックさせてまいります。
 また、今回は、都立施設の一部を、緊急の避難先として提供いたしましたけれども、区市町村からは、今後、一層活用したいというご要望が寄せられております。そこで、洪水や浸水のおそれがない場所にあります都立の一時滞在施設を風水害時の避難先として活用していくために区市町村と順次、協定を締結してまいります。また、風水害時に対応いたしました指定緊急避難場所の早期指定、区市町村を支援してまいりたいと考えております。
 それから、施設の整備と適切な維持管理についてのポイントとなりますが、河川の水位などの監視については、さらなる強化が必要でございます。そして、今後は、浸水被害を踏まえました監視カメラの設置拡大を進めてまいります。
 また、台風19号により河川の水位上昇で、多摩川の樋門閉塞作業に危険が及び、操作ができないという事態が発生したわけでありまして、そこで樋門の安全対策として、地元区と連携して、住民の皆様に樋門を閉める情報を事前に提供するなど、操作状況の共有を図ってまいります。これに、樋門操作の遠隔化の検討も進めてまいります。
 そして最後ですけれども、その他の風水害の対策として、マンションの浸水対策があります。マンション管理ガイドラインに、風水害対策に関します取組を追加いたします。それとともに、浸水対策ガイドラインを改めて周知していくというものであります。
それから、都営地下鉄ですけれども、浸水想定区域内にも駅が多々存在いたしておりまして、出入り口には止水板がありますけれども、その高さを見直すことや、止水板から防水扉への変更など、追加対策を検討してまいります。
 昨年の総点検では、「災害は忘れる暇を与えず私たちを襲ってくる」というように申し上げたわけでございますけれども、早くも今年、その言葉が現実のものになっているわけであります。今回の検証の結果、来年度の予算編成で対応していくこととなる項目につきましては、年明けの査定でしっかりと精査してまいります。そして、今後も、不断の見直しを行うことによって、防災事業の一層のグレードアップを進め、セーフ シティーの東京を万全なものとしてまいりたいと考えております。詳細は、総務局にお聞きください。

詳細は以下のURLをご覧ください。(映像もご覧いただけます。)
東京都ホームページ 小池都知事会見

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