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滋賀県野洲の廃墟マンションに解体命令

 ニュース等でご存じだと思いますが、滋賀県野洲市に無人の廃墟マンションがあります。このマンションは、鉄鋼造の陸屋根3階建て、延床面積408.12㎡、敷地面積198.85㎡、各専有面積が38.22㎡の9戸の「美和コーポ」というマンションです、1972年に建てられた建物ですが、当初は、通路を隔てて隣接している4階建てのマンションの附属建物だったそうです。約半年後に、建物が分割登記され、敷地も分筆されています。そして、新築から約4年後の1976年に区分所有権が移転しています。
 野洲市は3月18日に、空家対策特別措置法に基づく特定空家等に認定したこのマンションの区分所有者に対して解体命令書を送付しましたが、それまでの経緯は次のとおりです。
2010年 1月 滋賀県が区分所有者にアスベストの飛散防止措置を勧告
2012年11月 野洲市生活安全課へ「手すりがぶら下がっている」との苦情が入る
2013年 7月 野洲自治会より空家管理不全情報報告書が提出される
2013年12月 不動産登記簿の所有者に改善指導書を送る
2014年 1月 空家対策協議を開催し、所有者の3人が出席し手摺を撤去
2018年 6月 大阪北部地震により市道に面した壁が崩落
2018年 7月 アスベストの分析調査を実施
2018年 8月 アスベストの含有が判明。立入り調査を所有者に通知
2018年 9月 「特定空家等」に認定し、建物の除去を求める
2018年10月 台風24号で3階軒の外壁が剥落
2018年12月 所有者に必要措置を勧告
2019年 3月 所有者に解体を命令する文書を郵送
 この命令による区分所有者の解体の期限は5月7日で、もしこの期限までに解体されなかった場合には、行政代執行法に基づく文章での戒告を経て、11月頃に行政代執行が着手される見通しです。野洲市はこの行政代執行の着手を見越して、解体実施設計委託料約6000万円を計上した2019年度の一般会計補正予算を市議会で可決しています。
 区分所有者が自主的に建物を解体(処分)するためには全員の合意が必要ですが、区分所有者9人のうち1人は行方不明ですので、まず無理だと思われます。また、マンション建替え円滑化法を活用できれば、5分の4以上の多数決で建物の解体、敷地を売却する手も考えられるのですが、このマンションには当然のごとく管理組合が存在していません。もし行政代執行が着手されれば、その費用は当然区分所有者に請求され、費用が6000万円であれば、一人当たり約670万円です。野洲市は6000万円を見込んでいますが、それ以上の費用がかかる可能性がでてきています。共用廊下部分の鉄骨保護材にアスベストが使用されており、その含有量が28.4%で、国の基準値である含有量0.1%を大幅に上回っていることが分かり、このアスベストの飛散防止のための費用が相当かかるためです。夏ごろにはまた動きがあると思いますので、動きがあればまたお知らせします。

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