地震保険の4区分について
明日で、東日本大震災から6年経ちます。当時の地震保険の損害認定基準は、「全損」、「半損」、「一部損」の3区分でした。損害額が建物時価の50%以上であれば「全損」、20%以上50%未満が「半損」、3%以上20%未満が「一部損」です。そして「全損」が契約金額の100%、「半損」が50%、「一部損」が3%の保険金が支払われます。この区分は、今年1月の地震保険の改定により、4区分に変更されました。従来の「半損」が「大半損」と「小半損」の2つに区分され、損害額が建物時価の40%以上50%未満が「大半損」、20%以上40%未満が「小半損」です。支払われる保険金も、「大半損」が契約金額の60%、「小半損」が30%となりました。
それでは、4区分したことによって、どのように変わったのでしょうか。例えば損害額が建物時価の45%の場合、以前は「半損」で契約金額の50%の保険金が支払われていましたが、1月からは「大半損」で60%の保険金が支払われることになり、保険契約者にとっては、この度の改定はプラスとなります。反対に、損害額が建物時価の30%の場合、以前は「半損」で契約金額の50%の保険金が支払われていたのが、1月からは「小半損」で30%の保険金しか支払われませんので、保険契約者にとっては、この度の改定はマイナスとなります。これはあくまで私の推測ですが、4区分にした方が支払保険金額は少なくなり、保険会社にはプラスになったのではないかと思います。
保険契約者からみれば、「一部損」の方を見直してほしかったと思います。マンションに限ってみれば、東日本大震災の時も昨年発生した熊本地震の時も、「一部損」が圧倒的に多いのです。マンションで地震保険の査定の対象となるのは建物を支える柱と梁で、主要構造部と呼ばれる部分だけです。エレベーターや高架水槽などの生活に不可欠なものにどれだけ被害があっても査定の対象外となります。極端な場合、主要構造分だけでの損害が2%で、そのほかの設備に多大な損害があったても、保険金はゼロの査定となります。また損害額が建物時価の19%と査定されれば、損害額3%と同じように、たったの3%の保険金しか支払われないのです。損害額20%と19%では、保険金の支払額が、以前は50%と3%で47%も違い、今回の改定でも30%と3%で27%に違いがあります。出来ることであれば、この「一部損」を、建物時価の「10%以上20%未満」と「3%以上10%未満」の2つに分けて、たとえば前者の保険金を契約金額の15%、後者を3%というようにして欲しかったです。
確かに、「一部損」を2つに分けることにより、保険会社の支払い保険金額が莫大に増加するでしょうが、「全損」、「大半損」、「小半損」の割合と保険金支払額割合とを再度検証してもらえればと何とかできるように思えるのですが。