損保各社が管理状況の良し悪しによる保険料算出制度を導入予定
今年10月に,大手損害保険4社は一斉にマンション向け火災保険を6%前後値上げする予定です。これを受けて、契約している火災保険の見直しを行った管理組合様、これから見直しする管理組合様があると思います。
日新火災海上保険は、従来の築年数による保険料算出ではなく、管理状況の良し悪しによる保険料算出を、数年前から取り入れていますが、東京海上日動火災保険と三井住友海上火災保険も、2021年から管理状況の良し悪しで保険料を算出するとの発表がありました。設備の破損や水漏れなどが多発するマンションには保険料を4~5割高くし、頻度の少ないマンションには保険料を2割安くするという制度です。たとえば100戸のマンションで、過去2年間で10件の保険金支払いがあった場合には保険料を25%上乗せ、15件を超えた場合には50%引き上げる。反対に2件以下の場合は保険料を2割以上引き下げます。
この制度を導入しようとする背景には、損保大手では過去5年で水濡れに伴う保険金の支払いが3割、破損では5割増えて、マンション保険の損益が大幅な赤字になっており、これらの水漏れや破損事故が計画的に修繕をしない一部のマンションに集中しているからです。今回のこの制度で保険料の公平さを保つ必要があると判断したのです。
ここ2,3カ月の間で、顧問をしている幾つかの管理組合様に、保険料が値上げする10月までに契約の火災保険の見直しをしてはと打診していますが、そのうちの一つに思いもよらない見積結果が出ました。
築19年、60戸程度のマンションで、現契約の保険期間は、2017年3月30日~2022年3月30日です。そして保険料は、3,052,610円です。この契約を解約して、保険料が予定されている10月前始期の保険期間2019年9月30日~2024年9月30日の保険料と、10月後始期の保険期間2019年10月30日~2024年10月30日の保険料を見積もってもらいました。ちなみに保険会社は東京海上日動です。結果は以下のとおりでした。
現契約 3,052,610円
値上前 3,295,440円
値上後 2,923,100円
値上げが予定されている10月以降の契約の保険料が一番安いのです。このマンションは築19年ですが、計画修繕はしっかりと行われており、しかも、水漏れ等もほとんど発生しておらず保険金請求もそれほど行っていませんので、それが安くなる理由かもしれません。ただし、東京海上日動は2021年から管理状況の良し悪しで保険料を設定すると発表していますので、ひょっとすると、今年10月からの保険料の見直し設定で、何らかの形で一部導入するのかもしれません。
その他、損保各社はマンションの大規模修繕を促す仕組みも導入するようです。また東京海上日動は給排水管の更新工事を実施したマンション限定の保険料割引制度を導入し、三井住友海上は長期修繕計画を作成・実行したマンションに対して一部の保険料を割り引く制度を導入する予定で、管理状況の良し悪しで保険料を算出するなどの方法に拍車がかかりそうです。