マンション管理計画認定制度が開始
本日4月1日より、「マンション管理計画認定制度」が開始されます。この制度は、2020年6月に成立した改正マンション管理適正化法に盛り込まれたもので、各自治体は国土交通大臣が定めた基本的な指針に沿って「マンション管理適正化推進計画」を作成し、その計画内容を有するマンションに対して、管理状況が適切であると認定します。各自治体は認定のために準備を行ってきましたが、準備に時間を要しているため、今日から認定の受付を開始するのは、全体の5%程度の自治体のようです。「マンション管理適正化推進計画」を作成するかどうかは自治体の任意で、国土交通省が実施したアンケートによりますと、計画を予定している自治体は30%弱で、開始時期も20204年度以降に設定しているとの回答もあるようで、全国的な認定制度として稼働するにはかなり時間がかかるかもしれません。
「マンション管理適正化推進計画」を作成した自治体においては、マンションから申請があった場合には、管理計画が適切であるかどうかを精査し、適切であれば管理状態が良いマンションであると認定します。そして認定されたマンションはマンション管理センターのホームページの閲覧サイトでマンション名等が公表されることで、管理優良マンションとしてアピールできることになります。ただし、アピールの成果の有無は現段階では未知数です。認定されるための管理内容の基準ですが、次の5項目となっています。
(1)管理組合の運営
①管理者等が定められていること
②監事が選任されていること
③集会が年1回以上開催されていること
(2)管理規約
①管理規約が作成されていること
②管理規約において災害等の緊急時や管理上必要なときの専有部分の立ち入り、修繕等の履歴情報の管理等について定められていること
③管理規約において、管理組合の財務・管理に関する情報の書面の交付について定められていること
(3)管理組合の経理
①管理費及び修繕積立金等について明確に区分して経理が行われていること
②修繕積立金会計から他の会計への充当がされていないこと
③直前の事業年度の終了の日時点における修繕積立金の3ヶ月以上の滞納額が全体の1割以内であること
(4)長期修繕計画の作成及び見直し等
①長期修繕計画が「長期修繕計画標準様式」に準拠し作成され、長期修繕計画の内容及びこれに基づき算定された修繕積立金額について集会にて決議されていること
②長期修繕計画の作成又は見直しが7年以内に行われていること
③長期修繕計画の実効性を確保するため、計画期間が30年以上で、かつ、残存期間内に大規模修繕工事が2回以上含まれるように設定されていること
④長期修繕計画において将来の一時的な修繕積立金の徴収を予定していないこと
⑤長期修繕計画の計画期間全体での修繕積立金の総額から算定された修繕積立金の平均額が著しく低額でないこと
⑥長期修繕計画の計画期間の最終年度において、借入金の残高のない長期修繕計画になっていること
(5)その他
①平常時における連絡に加え、災害等の緊急時に迅速な対応を行うため、組合員名簿、居住者名簿を備えているとともに、1年に1回以上は内容の確認を行っていること
②都道府県等マンション管理適正化指針に照らして適切なものであること
これらの項目を自治体が精査して認定するには事務的にかなり煩雑となるため、この制度が円滑に実施できるように、マンション管理センターが「管理計画認定手続支援サービス」を実施して事前確認を行います。このサービスを利用するかどうかは管理組合様が判断することができます。
この事前確認は、マンション管理センターから依頼を受けたマンション管理士が行います。ただし、センターから「事前確認適合証」が発行されたマンション管理士(以下「確認資格者」と呼ぶことにします。)のみしか行えません。
確認資格者又は各団体が事前確認を行う方法は、つぎの4パターンがあります。
1.管理組合様がマンション管理センターに直接事前確認を申請し、それを受けて依頼されたマンション管理士が実施する場合
2.管理組合様から直接事前確認を依頼されたマンション管理士が実施する場合
3.マンション管理業協会の「マンション管理適正評価制度」と併用する場合(確認資格者でなければ評価できません。)
4.日本マンション管理士会連合会の「マンション管理適正化診断サービス」と併用する場合(確認資格者でなければ診断できません。)
既に、管理会社から「マンション管理適正評価制度」について理事会にて説明がなされたかもしれませんが、通常の理事会審議事項に時間が割かれているため、私が知る限りでは、内容を理解できるような丁寧な説明がされていません。この「マンション管理適正評価制度」と併用して、国が推進する「マンション管理計画認定制度」の申請手続きが行えますので、今後、詳細な説明がなされるかもしれませんが、もしなされないようでしたら、管理会社に説明を求めていただきたいと思います。