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マンションの適正な管理を確保するための方策に関する要望:マンション管理業協会

 一般社団法人マンション管理業協会は、毎年、国土交通大臣宛に要望書を提出しています。昨年提出された要望内容は、①大規模修繕工事にかかる消費税の軽減税率の適用またはこれに相応する措置、②マンション修繕積立金支払い額に対する所得税額控除制度の創設、③マンションの共用部改修促進のための補助制度の拡充、④マンションにおける収益事業(駐車場業等)の所得に対する課税の減免措置で、一昨年もほぼ同じ項目でした。またその他の要望として、大型の郵便受箱設置・宅配ボックス設置のための補助制度の創設がありました。
 今年の要望内容は、昨年、一昨年と同じ内容も含まれていますが、今までと違う内容が多く含まれていました。その内容は次のようなものです。

(1)マンションの適正な管理を実現するための方策
①管理情報の開示
②情報開示マンションに係る優遇措置

(2)マンションの適時適切な修繕を実現する方策
①区分所有者が管理組合に納入する管理費・修繕積立金の負担軽減等の措置
②長期優良住宅化リフォーム推進事業の延長と拡充

(3)マンション管理適正化法の見直しに関する要望
①AI・IoT等先進技術活用
②重要事項説明の適正化
③重要事項説明の同一の条件の対象の追加
④管理業務主任者証の再交付
⑤従業者証明書の記載項目

(4)その他要望
①大型の郵便受箱設置・オープン型宅配ボックス設置のための補助制度の拡充

 (2)と(4)が昨年とほぼ同じような内容で、(1)と(3)が今年初めて要望される内容ですので、特に(3)の概要を少しお知らせしたいと思います。
 新しく分譲されたマンションとの管理委託契約は、マンションの管理の適正化の推進に関する法律(以下、「法」という。)の第72条により、重要事項説明なしで締結することができます。ただし、建設工事完了日から1年を経過してしまいますと、重要事項説明なしで締結することはできません。この件に関する要望が②です。事業主の販売上の都合で分譲開始時期が建設工事完了日から1年を経過してしまう場合や、賃貸マンションのような区分所有建物ではない建物を、建設工事完了日から1年経過してから区分所有建物として登記し分譲する場合などについては、重要事項説明なしでも締結できるようにしてほしいというものです。
 ③の要望は、重要事項の説明会を開催す必要がない同一条件の見直しです。国総動第309号には、同一条件として次の内容が記載されています。
・従前の管理受託契約と管理事務の内容及び実施方法(法第76条の規定により管理する財産の管理の方法を含む。以下同じ。)を同一とし、管理事務に要する費用の額を減額しようとする場合
・従前の管理受託契約に比して管理事務の内容及び実施方法の範囲を拡大し、管理事務に要する費用の額を同一とし又は減額しようとする場合
・従前の管理受託契約に比して管理事務に要する費用の支払いの時期を後に変更(前払いを当月払い若しくは後払い、又は当月払いを後払い)しようとする場合
・従前の管理受託契約に比して更新後の契約期間を短縮しようとする場合
・管理事務の対象となるマンションの所在地の名称が変更される場合
これらの条件に、管理組合の都合で、管理事務の内容や実施方法の変更要請があった場合や、管理事務の内容・実施方法を縮小しても変更相当分の費用が減額される場合も同一条件として認めてもらいたいという要望です。
 ④は、管理業務主任者証の再交付に時間がかかりすぎるため、即日交付又は代用書類(手続き期間中有効)の発効を考えてほしいとの要望です。時間がかかりすぎると、実務上支障をきたすという理由からです。
 ⑤は、個人情報・プライバシーにかかわることなので、資格証ではない従業者証明書における「生年月日」の記載を不要にしてほしいという要望です。

 ①のAI・IoT等先進技術活用については、次の機会にお知らせしたいと思います。

 マンション管理業協会の要望書はこちらをご覧ください。
  「マンションの適正な管理を確保するための方策に関する要望」

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