外国人居住者受け入れルールの整備を
住宅宿泊事業法(民泊新法)が施行されてから間もなく半年になりますが、民泊の届け出が伸び悩んでいるようです。その要因は、法令で規定されていない自治体による手続きの上乗せの運用のようです。観光庁の調査では、民泊の届け出に対する自治体の運用は次のとおりでした。
◆独自の書類提出を求めている。92自治体
◆事前相談を推奨している。57自治体
※うち必須であると誤解を与える案内をしている。26自治体
◆事前相談を義務づけている。2自治体
◆任意の現地調査をしている。18自治体
このような自治体による厳しい上乗せのおかげで、分譲マンションでの違法民泊の広がりを防ぐことができているようです。民泊を許容する管理規約等を届け出の際に義務づけたことも、広がりを防げた大きな要因となりました。
今年は、管理規約の改正のお手伝いをすることが多いのですが、民泊の禁止は規約ではなく細則で規定することを勧めています。確かに、今お住いの組合員の方は、ほぼ全員が民泊禁止のご意見をお持ちです。しかし、将来を見据えて場合、現在20代や30代の組合員の方々の構成比率があがり、この方々の民泊に対する認識は全く違うものになっているかもしれません。民泊を許容する人の方が多くなるかもしれません。多くならないかもしれませんが、いつでも許容の規定に変更しやすいように細則で規定しておくことを推奨しています。
日本人の労働者不足を解消する外国人労働者受け入れ拡大のための入菅法改正案が、現在参議院で審議中ですが、間違いなく今後外国人労働者の雇用が増えてくるとともに、外個人労働者に頼らざるをえない企業も増えてくるでしょう。中には、外国人労働者の為の住居(社宅等)を提供する企業もあるでしょう。その時、賃貸化が進んでいる分譲マンションの数室を社宅として借りる、場合によっては買う企業もでてくるかもしれません。想像してみてください。そのような状況になった場合には、お隣の入居者が外国人で、共用廊下を行き来している、エレベーターに同乗している、エントランスを出入りしている。ひょっとすると、集会室に役員として同席している、そのような情景になる時が、思いがけないスピードでやってくるかもしれません。
管理組合がが民泊を禁止する理由に、ごみ出し等のルールを守らない、深夜に騒いだりする等の迷惑行為等の不安が挙げられますが、今後、外国人労働者も含めて日本の分譲マンションに住む外国人が増えてきた場合、外国人民泊利用者と同じような不安がやはりあるのではないでしょうか。日本語がまだわからないことや、生活環境や文化の違いで、迷惑をかけようとしていないのに日本人の居住者の皆さんに迷惑をかけてしまうことが多々あるかもしれませんので、出来る限りそのようなことが起こらない様に、外国人居住者の受け入れのためのルール整備を、今のうちに管理組合で検討していただければと思います。