信頼できる大阪のマンション管理士事務所

マンション管理士事務所JU

大阪市による下水道の基本料金減免


 大阪市では、7月検針分から9月検針分の3ヶ月分の上下水道の基本料金が全額免除されます。また、堺市でも、6月検針分から9月検針分の4ヶ月分の水道の基本料金が8割減額され、東大阪市では水道の基本料金が4ヶ月分半額に、寝屋川市でも水道の基本料金が2ヶ月分全額免除されます。このような水道の基本料金の減額又は免除する自治体が、全国で見受けられます。

大阪市
堺市
東大阪市
寝屋川市

 これら水道の基本料金の減額又は免除は、新型コロナウイルス感染で窮している住民生活の支援の一環として行われるもので、「戸別検針」の一戸建ての住戸であれば各所帯が恩恵を受けることになります。しかし、「戸別検針」を採用している分譲マンションでは1戸建てと同じように各所帯が恩恵を受けることができますが、「一括検針」を採用している分譲マンションにおいては、水道局が基本料金を減額又は免除するのは、管理組合の基本料金になりますので、この時点では、マンションの各住戸は減額又は免除の恩恵を受けることはできません。従いまして、本来の生活支援という趣旨から、管理組会が受けた恩恵を各住戸に還元しなければなりませんので、減免分を差し引いた額を各住戸に請求する、各住戸に一律減免を反映させるなどの措置を取ることになると思われます。一方で、以下のような水道に関する諸費用のために、還元せずに管理費に残しておくことも考えらます。しかし、還元しない場合には、通常の差損益(各戸分の水道料を全戸合計した金額と水道局から管理組合への請求額との差額)とは違い、管理組合は水道局から請求されていない金額を各住戸に請求していることになりますので、管理組合が不当な利益を得ていることになってしまうおそれがあると指摘される弁護士の方もおられますので、ご注意下さい。また、たとえ総会で還元しない措置を決議したとしても無効になり得るとも言っています。
<水道に関する諸費用>
・親メーターから各戸メーター間の給水管の修理費、新品購入費
・親メーターから各戸メーター間に漏水があった場合の水道料
・各戸メーターの交換費用
・受水槽の清掃費・法定検査料
・上階へ配水するためのポンプ設備維持費
・検針する業者への支払い

 通常でも、各戸分の水道料を全戸合計した金額と水道局から管理組合への請求額には若干の差額が生じます。
 「一括検針」を採用している分譲マンションでは、通常発生する差損益を、先程の諸費用のために管理費に残したままにしていることが多く、この差益を不当だと主張した区分所有者の請求も、「仮に各戸が直接、市の水道局と契約したとしても、料金は同じであり損害はないこと」や「差益は全て管理費と同じく一般会計に組み込まれ区分所有者全体のために使われたこと」という理由で、退けられた判例もあります。
 現状では、水道料金の徴収方法や取扱い方について管理規約や細則に定めているマンションは非常に少ないように思います。たぶん、国土交通省が作成する標準管理規約に定められていないからだと思います。管理規約が共用部分等の管理を規定するものであって、各住戸における個々の水道使用料金に係る規定が管理規約に相応しくないからでしょう。
しかし、管理組合は、「一括検針」を採用することで各住戸から水道料金を徴収し、その差損益で共用部分等を管理しているわけですから、以下のように、ある程度のルールを決めておいた方が良いと思われますので、是非検討してみて下さい。

(水道料金)
第29条の2 本マンションの上下水道料金は、〇〇市水道局の定めるところにより本マンションの上下水道の全体メーターにより、各専有部分及び共用部分等のものを併せて管理者が一括して支払う。全体メーターによる料金が、個別メーターの合計による料金と比べて不足を生じたときには管理費より補充し、また余剰が生じたときは管理費に組み入れる。
2 各戸の上下水道料金は〇〇市水道局の定める料金表に準じて各戸へ請求し、第64条に定める方法により、各戸より徴収する。なお、使用の有無に関わらず基本料金は発生するものとする。
3 各戸の使用料(上下水道料等)において専有部分を貸与し、当該第三者がその使用料を滞納した場合、専有部分を貸与した区分所有者がその使用料を支払わなければならない。

ページトップ