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水害危険度に応じた地域別保険料の設定を大手損害保険会社が検討

 日本損害保険協会が3月22日に発表した台風21号の保険金支払金額(2019.3.11時点)は9698億円で、大阪を中心に関西圏が最も被害が大きく保険支払金額も多かったようです。大阪府で5681円、京都府が748億円、兵庫県が702億円、和歌山県が470億円、滋賀県が264億円、奈良県が118億円です。そして、台風24号による保険支払金額を足すと1兆2566億円となり、東日本大震災の支払金額(1兆3203億円)に匹敵します。
 また、昨年発生したその他の自然災害による保険金支払金額は、西日本豪雨が1901億円、大阪北部地震が1033億円、北海道胆振東部地震が338億円で、これらの合計は1兆5838億円となり、東日本大震災の支払金額(被災企業への支払いは含まれていない。)を上回ることになります。
 昨年のような風水害が頻発すれば、保険金支払金額も膨らみ続けることになりますので、大手損害保険会社は、今まで全国一律であった水災補償の保険料を、危険度に応じた地域別保険料に設定することを検討し始めました。
昨年、岡山県倉敷市真備町が高梁川水系の小田川堤防が決壊し河川が氾濫したため、甚大な被害を受けました。日本経済新聞によりますと、もし東京都東部の荒川や、千葉県と茨城県を流れる利根川が決壊した場合、その保険支払金額は東京海上日動火災保険、損害保険ジャパン日本興亜、三井住友海上火災保険、あいおいニッセイ同和損害保険の4社で、約2兆円規模になる推定だそうで、もしそうだとすると、昨年の関西圏での台風と西日本豪雨の支払金額の約2倍になることになります。
 このような背景から、損害保険会社は「水災補償」の保険料制度を見直し始めるようです。浸水被害は火災保険のメニューとして補償がつけられていますが、保険料は全国一律でした。それを、洪水リスクの高い地域と低い地域とを差別化して地域別料率の導入を検討しています。大きな河川周辺部で河川の氾濫が想定される地域にお住いの方の保険料は、今後引き上げられる可能性が十分考えられます。
 マンションの火災保険でも、台風、暴風雨、集中豪雨などによる洪水、高潮、土砂崩れなどで建物が損害を受けた場合には、「水災」補償してくれますが、保険会社によって支払条件が異なりますので、是非内容を確認しておいてください。一般的には、①建物、家財それぞれ保険価額※の30%以上の損害を受けた場合、②床上浸水または地盤面から45㎝を超えて浸水した場合に補償されます。ただし、「水災補償」を外して契約している場合などで「水災補償」が付いていない場合は補償してくれません。また、被害を時価で支払ってくれるのか、新価(再調達価額)で支払ってくれるのかは契約によって異なりますので、こちらのほうもご確認ください。
 もし危険度に応じた地域別保険料が設定された場合には、「水災補償」付け外しが最も保険料の節約につながる部分になるかもしれませんが、「水災補償」を外しても大丈夫なのかどうかを、自治体が発表しているハザードマップで水害等の危険性を確認し、建物の立地条件や構造などを考慮したうえで判断していただきたいと思います。

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